大学の先輩との関係は、一層欲求不満が残るといいますか…【小説・じゃない側の女~Side3あきらめない側の女 Vol.7】

2017年7月20日
【連載第7回】畠山結花(はたけやま ゆか)43歳 ゼネコン勤務の一級建築士。同業のハイスペック夫と2人の子供、瀟洒な一軒家。「すべてを手に入れて」順風満帆な人生を突き進んでいるように思われるが…。(全14回)
「ふーん。よくわかんないからふーんしか言えないけど。あたしなら買ってくれる人がいて、あたしが働かなくてもじゃんじゃん物買ってくれるっていうならそれでいいけどね。真木もそう思わない?」

「思いまーす」

「だけどまあ、充実感とか満足感の持ち方も人それぞれってことか。それより、その昔王子様だったやせ細ったおじさんと結花はちゃんと出来たの?」

「うん。今はちょっと残念な姿でも、昔は手が届かなかったアイドルだもん。目をつぶって昔の姿を思い出せば燃えるって話で」

「どうだった? いざしてみたら。よかったの? でも病院にいくはめになったってことは、まさか乱暴にされちゃったとか…?」

「逆。むしろよく言えば超丁寧に、悪くいえばくどくどしくえらい長々奉仕されたの」

「あー、そっち?」

「もういいんだけどなーって思う位。何事もほんと、ちょうどいいってないよね。そういうご奉仕は大っ嫌いで、あからさまに渋々ちょっとだけおざなりにしてほらもういいだろ的な人もいれば、もういい加減にしてくれっていうくらいくどい人もいる、と」

「結花のトーンで淡々と描写されるとかえって生々しいなあ。もうちょっと飲まねば」

真木がシャンパンをボトルで追加する。

「ずーっと長々してくれる人って一見、女性を気持ちよくしてあげたいと思ってくれる優しい人にも聞こえるでしょ? でもそうとは限らないんだよね。女を気持ちよくしてあげられる、尽くしてあげられる俺、ってのが好きな人も多いんだよ。少なくとも先輩はそっちだった」

「それはそれでうざいね。でも全体的にはどうなん?H自体はよかったの?」

「それが残念ながら特筆すべきよさは…。あっけなくて、むしろ一層欲求不満が残るといいますか。やっぱりサイズじゃないと思うの、固さよね」

「固さよねって、麗しの結花しかしらない人は、淡々とそんなこと言っちまうブラックな姿を見たら驚くんだろうなあ。しかし重ねがさね残念だね。それでかゆくなって痛くなって病院行くはめになって検査代とられて、膣錠いれるって、全然憂さ晴らしにならないじゃん、あはは結花だっさーい!」

理沙の雑ながらごもっともな総まとめに、思わず飲んでいたシャンパンをむせかえりそうになる。

「おっしゃるとおりで。でも検査したら、そっち系の危ない菌は何も出なかったの。大丈夫だった。ただまあかゆいっていうなら、たいていはセックスをした男性側の常在菌が女性の膣内に侵入して、菌のバランスを変えたせいだろうから、しばらくこれを入れてみてって渡されたの」

「それがクロマイ! OK、もう覚えたその名前」

「でも私、タンポンもダメなのね。自分のあそこに触れもしないわけ。なのに指入れるなんてもうありえなさ過ぎて」

「男の指は大丈夫なんでしょ?」

「うん、まあむしろ好きよね。気持ちよくしてくれるなら」

「なのに自分の指はだめなんだ」

「ありえない。だから錠剤入れるなんて絶対無理。昔もこの薬、付き合ってた彼氏に頼んでいれてもらったこともあるくらい、自分じゃとにかく無理なの」

「それ笑える」真木まで爆笑だ。

「だって、不気味じゃない? 子宮口近くの奥まで入れて下さい。立膝で座り、軽く膝を開き上体を後ろにして片足だけ階段を一段のぼったような体勢だとスムーズに入りますよ、とかって説明されるんだけど、もうどうにも怖くて怖くて。おそるおそる爪の先で錠剤をつんつんして押し込もうとするんだけど、これがまた押し出そうとする力がすごいのよ。そうこうするうちに嫌な汗までぶわーっと出てきちゃって。第二関節よりもっと突っ込めなんて、絶対無理だって」

「子供が出て来たとこなんだから、100円玉位すぐ入りそうだけど」

「あれは出てきてくれるわけで、これは入れるのよ。逆流よ」

私の必死な説明を聞きながら、理沙と真木の爆笑は止まらない。
  • 植田真木(うえだ まき)43歳 金融会社勤続20年の管理職。「アラフォー独身女」でいることに疲れ、39歳で「可もなく不可もない男」と駆け込み結婚をしてみたものの…。

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  • 谷原理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。

    ■Side2産んでない側の女(全15回)を読む >

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