夫とはダメだけど、相手によってはまだ大丈夫なんだ【小説・じゃない側の女~Side3あきらめない側の女 Vol.8】

2017年7月21日
【連載第8回】畠山結花(はたけやま ゆか)43歳 ゼネコン勤務の一級建築士。同業のハイスペック夫と2人の子供、瀟洒な一軒家。「すべてを手に入れて」順風満帆な人生を突き進んでいるように思われるが…。(全14回)
「どうすんの?」

入れたことのない理沙は興味深々。

「結局、超入口にしか入れられないから、ものすごい違和感、異物感があり続けるの。私なりに頑張っていれてはみたんだけど、入り口にちょこんと置いてあるだけだから油断するとすぐ出ちゃうって話よね、で、さっきなんか力んだらボテっと出た気がしたの」

「いいの? 出ちゃって」

「だめでしょ。でももう自分じゃ無理だから…病院で入れてもらいにもう一回行っておこうかな。あーまた昼休み使わないと」

「それいくらかかるの?」

「膣洗浄と錠剤入れてもらうくらいなら500円しないんじゃない?」

「じゃ行きなさいよ、それくらい時間作ってさあ」

そのとおり。行けばいい。でも時間以外にもちょっと行きにくい事情がひとつ…。実は今回病院へ行って、あそこが痛くてかゆいと言ったら、ろくに顔も見ずにパソコンを入力する女医に『何か思い当たることは?』とぶっきらぼうに質問された。だからやんわりと、ちょっとセックスする時あそこを雑に扱われたものですから…と言った瞬間、パソコン打ってた手を止めてバッと顔あげるや女医が言った。

『いつものパートナーじゃない方ですね?』と。

予期せぬ質問が直球できたから、思わず正直に『はい』と反応してしまった。するとその女医はまた無表情でパソコンに向き直って「パートナー外性行による」とカタカタ入力した。そんなことカルテに書かれたの見ちゃったら、ちょっと行きづらい。

「結花のカルテにはずっとそのテキストが残って、毎回診察してくれる担当医に読まれるってことか。この人、こんな美人でこんないい会社に勤めてるキャリアウーマンだけど、澄ました顔して旦那じゃない人とHしちゃうわけねって」

あははとまたまた爆笑する真木と理沙ふたりから、
「まあとにかく、危ない菌はいないってわかってなにより。病気もらってなかったことにカンパーイ」
とグラスをカチンカチンとぶつけられる。

全然気持ちよくはなかったけど、実は一つ確認できたことがある。旦那とする時は、ゼリーでも塗らないとかなり過酷で、入れる時にぎしぎし言うし、後で出血する位しんどかったのが、今回はゼリー使わなくてもスムーズにことが進んだから、ああまだ相手によっては私、いけるんだなって。もうひからびて潤わなくなっちゃったのかなって、正直ひとり心配してたから。

「何それ」と笑う理沙の隣で、「ちょっとわかる」と真木が真顔でうなずいた。

「私も問題いろいろ起きてからは、元ダンとのHほんとムリで、生まれて初めてアマゾンでゼリー買って、する寸前に隠れてトイレで塗ったもん。さらっとべたつかず使いやすい水溶性とかいうやつ。無臭、無色透明って書いてあるけど、ほんとに匂わないのかな、ばれないかなって、使う時ドキドキしなかった?」

まさに。でも意外。真木も使ったことあるんだ。

「まぢ?! 何この人達。結花も真木も、クロマイもゼリーもそろって体験済みなの? 知らないのあたしだけ? えーっ、何それーっ!」

恥ずかしいほどに大声をあげる理沙の口を真木が両手で覆う。

「声がでかいって。どっちも知らなくて済むならそのほうがいいんだから。でも理沙が言ったとおり、パーフェクトヒューマンの結花にもダサいとこ、そこそこあるね。私たちいろいろ、何だかなって感じでおかしいね」
  • 植田真木(うえだ まき)43歳 金融会社勤続20年の管理職。「アラフォー独身女」でいることに疲れ、39歳で「可もなく不可もない男」と駆け込み結婚をしてみたものの…。

    ■Side1結婚してない側の女(全14回)を読む >
  • 谷原理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。

    ■Side2産んでない側の女(全15回)を読む >

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