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素敵な男性はどこかの女性が手間をかけて育てあげた男…【小説・じゃない側の女~Side4満足させてもらえない側の女 Vol.6】

【連載第6回】須藤慶子(すどう けいこ)43歳 結婚14年目の専業主婦。夫が出張のたびに「とあるサービス」を利用していると知り、ショックを受ける。(全8回)
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おののく私など一向に気にせず谷原さんのマシンガントークは続く。

「あー須藤さん。乱れてるとか不潔とか不謹慎とか、普通じゃないとか軽々しくいちゃもんつけてくるのもやめてね。二股だとか三股してるんじゃないんだから。真剣に一人の男を好きになって、まっすぐ思ってその人が無茶苦茶好きでどうしても欲しくて一緒にいたいっていう気持ちは普通の恋愛と変わらない。ただその相手が既婚者だっていうことが法的には不貞とされるし、普通ではないとされる点なだけで。そしてその『だけ』こそが問題だってこともよくよくわかってるから」

「そもそもさ、素敵な男性はそこまでの男にどこかの女性が時間と手間をかけて育てあげた男なわけで、今から思えば、人さまが育てたいい男を育ったところからいただくなんて虫が良すぎるんだよね」

クリーンなイメージだった真木ちゃんまでもがそんなことを穏やかに言いながら笑ってるなんて、ちょっとショックなんですけど…。今日はいろいろ衝撃が大きい。なんか、くらくらする。

「自由と責任は表裏一体。自分がとった行動の責任は必ずどのようなカタチでもとることになるし、とらねばならない。それを私たちはとってきて、今に至るって感じ。だから須藤さん、あたしとか真木とか、泥沼・羅場の場数そこそこ踏んでる素人女を相手に、あなたみたいに守られるのが当たり前でこの歳まで生きてきた女がもし戦うとなったら多分しんどいでしょ?それと比べたらプロのデリヘル嬢なんて、そもそも闘う必要からしてないんだし、ほんと何も問題ないって!」

もしかして…あれ、谷原さん、不倫をおおっぴらに正当化しだしたのかと思ったらそうではなくて、この流れは、この人なりに私を励ましてくれているつもりなんだろうか? だとしたら、わかりづらいことこの上ない…。

「長く生きてると、女もそれなりにいろいろ歴史がありますってだけの話だからあんまり気にしないで。既婚者なんて面倒な人とは面倒なことはしないで済むならしないに限るって、道徳的見地からだけじゃなく実体験としてみんなもう切実にわかってるお年頃だから」

やや酸欠気味で茫然としている私に笑いかけながら、真木ちゃんは谷原さんの奇天烈なトークをさりげなくフォローしようとする。

「あ、ちなみに須藤さんはやめた方がいいよ、どんなに寂しくても腹いせでもよその既婚者と浮気するのは。だって、相手の奥さんに訴えられた時に慰謝料払えないでしょ? あたし達は払えるけど」

「やめなさいってそういう冗談は」

せっかくのフォローを無駄にしてさらにかぶせる奇天烈女を真木ちゃんはグーでぶって黙らせようとするが止まらない。
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    植田真木(うえだ まき)43歳 金融会社勤続20年の管理職。「アラフォー独身女」でいることに疲れ、39歳で「可もなく不可もない男」と駆け込み結婚をしてみたものの…。

    ■Side1結婚してない側の女(全14回)を読む >

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    谷原理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。

    ■Side2産んでない側の女(全15回)を読む >

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