アラフォーになってから、なんだか今までと生理の期間や量が違ってきたり、PMS(月経前症候群)がひどくなってきたりと、生理やPMSの状態が前と違ってきたと感じている人が多数。
産婦人科専門医 高尾美穂先生
女性ホルモン分泌量の減少で生理の量や日数、周期に変化が
40歳前後になり生理の量や日数、周期などが変わってくる理由とは? まずは生理のしくみをおさらい。
「生理にはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関係しています。生理後はエストロゲンが増え、その影響で子宮内膜が厚くなります。やがて排卵を過ぎるとプロゲステロンが増え、子宮内膜はさらに厚くなり妊娠成立に適した状態になります。妊娠しなかった場合は両方のホルモンの分泌が減り、子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに排出されます。これが生理です」
ただ、女性ホルモンは35歳ごろを境に分泌量が減り、それに伴い変化が。 「エストロゲンが減ってくると子宮内膜が作られる量も減ります。経血量や生理日数が減るのはこのためです。また、生理周期が短くなるのは加齢によりプロゲステロンの分泌期間が短くなるから。つまり自然な体の変化です。ただ、経血量が増えたり、生理痛がひどくなった場合は子宮筋腫や子宮内膜症の可能性が。40代になるとこれらの病気も増えます」
では、PMSの症状が変わる理由とは?
「PMSは、生理前にプロゲステロンの分泌が増えることが大きな原因。プロゲステロンには体に水分をため込む働きがあるので、体がむくみやすくなります。腸がむくんで便秘になったり、髄液の圧が上がることで頭痛が起きたりします。また、プロゲステロンは血糖値を下げるインスリンの効きを悪くするので、過剰な食欲を感じやすくなります。急激な血糖値の低下により体が飢餓感を感じ、それに対抗しようとアドレナリンが分泌されるため、攻撃的になったり、イライラしやすくなります。それに加え、プロゲステロンの分泌が高まる時期には、自律神経のうちの緊張をもたらす交感神経が優位になったり、精神を安定させる脳内物質GABAや、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンも減ることもあり、イライラや落ち込みを感じやすくなります。20代ごろまでは、排卵が正しく起きず生理不順のことも多いのですが、30代になると安定してきて排卵が規則正しく起こり、生理も順調に来てプロゲステロンもしっかり分泌されるので、アラフォーになってPMSがひどくなる人も多いのでしょう」
つまり生理やPMSの状態が変わるのは、加齢による自然な変化。
「健康な証拠なので、過度に不安を抱かず、うまく乗りきりましょう」
アラフォーになると女性ホルモンの減少により、経血量が減ったり、生理期間や生理周期が短くなったりという変化が出やすい。一方で婦人科系の病気も増えやすい年代で、それに伴う経血量の増加や生理痛の悪化なども。
アラフォーになると排卵が安定し、生理前にプロゲステロンが正しく分泌されるようになるため、むくみや頭痛、落ち込み、イライラなどプロゲステロンの影響によるトラブルが生じやすくなり、PMSがひどくなる場合が。
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アラフォーなら自然に起こること
経血量の減少や、生理日数や周期の短縮、PMSがひどくなることは年齢とともに起こる自然な体の変化。悪いことではないので過剰に不安にならず、うまく乗りきって
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