【今月のお悩み】「年下の人のタメ口が許せません」
(石川県・くらら・40歳・主婦)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
むだな抵抗はやめ、 目には目を、タメ口にはタメ口を
以前、仕事を通じて知り合った、明らかに僕より20歳くらい年下の人も、タメ口しかきけない人でした。だから仲間内では、彼のことを「タメ口」とあだ名で呼んでいたんですが、「なぜ、タメ口しかきけないのか」を一度、聞いてみようということになって、勇気を出して問いただしたんですよ。そうしたら、返ってきた答えが「ごめん。敬語がようわからへんのや。すまんなー」って、やっぱりタメ口で(笑)。どうやら彼は、もともと敬語を使う習慣がなかったようなんです。家庭環境なのか、それとも、大人になっても敬語を使えないということは、彼が生まれ育ってきた社会の中に尊敬語や丁寧語が存在しなかったのかわかりませんが。
僕なんて、それまでは彼に慇懃無礼なくらいに丁寧な言葉を使っていたのですが、彼いわく「どうしていいかわからなくて、困ってたんや」と、ものすごいプレッシャーを感じていたようでした。それを聞いて、一同納得。ならばと、みんなでタメ口をきくようにしたんですが、それ以降、彼もようやく心を開いてくれるようになったんです。なので、というか、くららさんの場合はまわりのほとんどの人がタメ口のようですから、くららさんもそれに合わせる努力をされたほうがいいんじゃないでしょうか。
恐らく、くららさんは「年下にタメ口をきかれ、プライドが許さずイライラしている」のでしょうが、相手は悪気でやっているわけじゃない、それが自然と思っていることでしょう。
どうやらくららさんの居住圏内では、くららさんのプライドは必要ないみたいですね。それに、周囲の人たち全員に敬語の再教育を施そうとすれば、ものすごい時間と労力がいりますので、くららさんの身がもたないと思います。 ここはひとつ、目には目を、タメ口にはタメ口を、でいきませんか? 大して親しくもない人や目上の人にタメ口をきくには、最初、かなり抵抗があるでしょう。僕もそのセンスをもち合わせていないのでドキドキしたもんです。でも、自分のほうから寄っていくのが早いです。そのうち、慣れてくるでしょう。
それに、もしかするとまわりの人たちは、努めてフランクに付き合おうとしてくれている可能性もありそうです。お悩みの文面から判断するに、くららさんは、ほかの土地から今の場所に移ってこられたのでしょう。そんなくららさんを、〝よそもの〞扱いしないようにと、年下の人たちもあえてタメ口をきいているのかもしれません。なので、ぜひ一度、くららさんもタメ口を試してみてください。
それでも気が収まらないなら、暮らしている土地、石川県のいいところ探しをしてみませんか。人付き合いも、相手のいいところを見つけるようにするといい、と言いますしね。石川県といえば、海産物はおいしいし、いい温泉はあるし、モーゼの墓まであるのご存知ですか?(笑)
きっと探していくうちに、くららさんの心に響く何かが見つかり、気が少しは紛れる……かもしれませんよ。
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みうら・じゅん●イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生む。近著に『みうらじゅんの松本清張ファンブック 清張地獄八景』(文春ムック)、『ラブノーマル白書』(文春文庫)
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しんさん・なめこ●漫画家、コラムニスト。巫女的な感性であらゆる事象を取材。近著は『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか』(PHP研究所)
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