お話を聞いたのは…
☆カラキヤ洗染 営業部長 亀山智行さん:創業100年の老舗クリーニング店。確かな技術でプロからの信頼も厚く、全国から宅配での依頼も多い
☆コロンブス 企画部 武田哲緒さん:あまたの靴のお手入れ用品を世に送り出してきた老舗専門メーカー。靴以外にも使えるアイテムも多数
☆スタイリスト 徳原文子さん:マリソルスタイルを牽引する人気スタイリスト。クリーニングより自宅ケア派で、シミ抜きも得意
【1】レザーとスエードのお手入れ方法
「ライダースをはじめとする表革の衣服は、できるかぎり自宅ケアがオススメです。油で洗うドライクリーニングの場合、その革自体の油分が奪われ、人工的な油分が加えられるので、光沢感などが持ち込んだ時と変わってしまうからです。自宅では乾いた布で軽く汚れをふき、専用クリームを塗り、しっかり湿気を取ってからしまいましょう。ただしお手入れが複雑な部分レザーのもの、見た目以上に皮脂汚れの激しいグローブはプロにまかせて」(亀山さん)
「スエードのお手入れは意外と簡単。よくあるテカリは主に毛が寝てしまうのが原因です。専用のブラシで毛を起こしてあげ、スエードに使える保革スプレーをするだけ。ただし長期間毛を寝かせっぱなしにしていると、そのまま形状記憶されてしまうことも。衣替えの前には必ずブラッシングしてからしまうのが賢明です」(武田さん)
【2】革靴のお手入れ方法
【3】ニットのお手入れ方法
「最近は市販洗剤もとても優秀なので、ニットを自宅で水洗いすること自体は簡単。むしろ型くずれさせず、 きれいに着られるような状態に戻すには脱水や干し方が重要です。また、実は高級なカシミアこそ自宅洗い向き。ウールと比べてもキメが細かく、純毛なので油分も多く、自宅洗いでも十分きれいな仕上がりに。襟、袖の皮脂汚れに欠かせないドライクリーニングは、油で洗うのでやりすぎると逆にカシミア自体の油分が奪われてしまうことも。一方アンゴラやモヘアは水洗いがむずかしい素材。脱水の際に熱が加わると、毛が縮小したり、抜け毛が増えたり......。自宅ケアでもとの風合いを再現するのは至難の業わざなのです」(カラキヤ洗染・亀山智行さん)。
「ニットはすべて自宅洗い派です。基本はネットに入れて、おしゃれ着用の洗剤を入れて洗濯機で。ローゲージのニットは特にぎゅっと目が詰まりやすいので、干す時に元の大きさと形に整えるのもポイントです」(スタイリスト・徳原文子さん)。
【4】コートやストールなど、ウールアイテムのお手入れ方法
「ウールはニットと同様に自宅ケアが可能。ストールやスカートなどはまさに最適。ただし収縮しやすい性質なので、コートなど型くずれの心配があるものはドライクリーニングがオススメ」(亀山さん)
「自宅ケアがメインの私もコート類は洗いません。内側は無臭ファブリーズ、外側に衣類用の抗菌・防臭スプレーをかけ、陰干しで乾燥させてから、ブラッシングで整えてしまいます」(徳原さん)
【5】ファーのお手入れ方法
「アウトドアブランドのものなど、手洗い表記のついたものもありますが、一般的にファーは種類にかかわらず自宅でケアをするのは極めてむずかしいとされています。実際には毛そのものよりも、その根元の地肌である皮の部分がぬれたり、古くなるにつれて油分がなくなり、硬化して破れたり裂けたりするので、そこに注意が必要です。
実はファーの毛は、人間の髪の毛と一緒で、キューティクルのようなもので一本一本コーティングされていて、ちょっとした汚れは弾いてくれるので、頻繁に洗う必要はありません。ただし毛の中にはホコリや目に見えない細かいゴミがいっぱい。よどんだ空気もそのままにしているのはよくないので、専用のブラシできちんとブラッシングして汚れをき出し、日陰干しをして着用時の湿度の残りをとることが重要です」(カラキヤ洗染・亀山智行さん)。
【6】ムートンのお手入れ方法
「ていねいにブラッシングするだけでかなりきれいに。湿気に弱いので、しっかり陰干し。こもったニオイもすっきり」(徳原さん)。
「自宅ケアに限りがあるとはいえ、ドライクリーニングにもリスクが。すそが切りっぱなしのムートンは、加熱で端が丸まってしまうこともあるので、事前によく相談を」(亀山さん)。
「ムートンブーツの色落ちには、スエード靴用の補色ミストが使えます」(武田さん)