【今月のお悩み】「自分の老化を受け入れられません」
(埼玉県・かほ・48歳・会社員)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
今、起きている現象は「老化」ではなく 「進化」。楽しんじゃいましょう!
老化をなかなか受け入れられないという気持ち、よくわかります。僕もある朝、顔の肉がたるんでいるのに気づいて、「あれ? 酒の飲みすぎでむくんだかな」と思い、ほっぺたをパンパン叩いてたもんですよ。でも、次の日もそのまた次の日も、むくみはとれない。そこでようやく「あ、飲みすぎじゃなく、肉が重力に逆らえなくなったんだ」と初めて気づいたしだいで(笑)。
子供のころは「努力をすればなんとかなる」と教わったものです。さらに少し大人になると、「お金をかければどうにかなる」と信じるようになって。でも、こと老化にかぎっては努力が報われにくい。高級な化粧品やエステにしたって、老化した部分を補修したりスピードを遅らせる効果はあるかもしれませんが、完全に若さを取り戻せるわけではありませんから。そのことは、かほさんも気づいてらっしゃるからこそ「この費用も馬鹿にならない」と憤っていらっしゃるわけでね?
これはもう、老化や加齢をつらいものとして「受け入れる」のではなく、生きる者として当然のことだと受けとめるしかありませんよね。僕もまだ、ピンときてませんが、どうやら老化はずっと続くわけではなく、「死」というオチが待っているっつーじゃないですか。つまり、われわれは死に向かって「進化」しているわけで。
何も、かほさんだけが老化しているのではありません。「若いころのようにならなきゃ」というような強迫観念にみな、かられがちです。〝老化〟って言葉がいけないんですね、きっと。死への〝進化〟。これも嬉しくないですよね。やっぱ、ここは「老いるショック!」ってギャグでどうにか笑ってやりすごせないもんですかねぇ。
例えばですけど、かほさんの過去の姿を知らない人が集まる場所に行くというのは、どうでしょう。
かほさんはきっと、もともとおキレイなのだと思います。だからこそ、若いころの姿と今を比べて落ち込んでしまうのでしょう。だとしたら、今のかほさんしか知らない人ばかりの場所を見つけて出かけません? 習い事でも趣味のサークルでもなんでもいいと思います。そこで出会う人は、努力されている現在のかほさんを見て「キレイ」「若々しいですね」と言ってくれるでしょう。 もっとも、その人たちの目もやがて慣れ、ほめてくれなくなるかもしれません。そうしたらまた新しい場所に移ればいいんじゃないでしょうか。
本当は身近な人に「若々しい」と言ってもらえるのが一番の若返りの薬のような気がしますがね。ちょっとおしゃれをして、これまでと違った場所に出かけてみる。そのうち、時間を忘れて夢中になれるものに出会えるかもしれません。そうなればしめたもの。鏡をのぞいてため息をつく暇もなくなると思いますよ。
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●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『男気の作法』(マガジンハウス)、『人生エロエロだもの』(文藝春秋)など
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●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『魂活道場』(学研)、『おしゃ修行』(双葉社)などがある
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