☆私が教えます!
産婦人科医・心療内科医 小野陽子先生
▼生理のリズムをおさらい!
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女性ホルモンの減少に伴い、状態に変化が。アラフォーのための生理の基礎知識|40代ヘルスケア
最近、今までと生理の状態が違う……。でも人と話題にすることもなく、生理の知識の更新がされていない人も多いのでは? マリソル世代は、婦人科系の病気や更年期も気になり始める時期。改めて、生理について向き合ってみませんか?
生理のつらい症状①
その痛み、月経困難症かも…?
アラフォーになって、月経痛が悪化することもよくあるケース。症状があまりにもひどい場合は、「月経困難症」と診断される場合も。この病気の2つのタイプや原因、治療法などを詳しく解説。
■そもそも月経困難症とは?
生活に支障をきたすほど症状がひどく、下腹部痛以外に、頭痛、吐き気などが起きることも
月経中に強い下腹部痛や腰痛などが起きて、生活に支障をきたす場合は月経困難症が疑われる。
「月経困難症は月経のある女性の約30%にみられます。原因によって2 つのタイプがあり、ひとつがほかの病気が原因でない"機能性月経困難症"。これは、子宮内膜で作られる痛み物質のプロスタグランジンが通常より多く作られ、子宮が強く収縮することで、下腹部痛や頭痛、吐き気、下痢などが起きます。また、もうひとつのタイプは、病気が原因で起こる"器質性月経困難症"。子宮内膜症や子宮筋腫などなんらかの病気が原因で起きます。アラフォーに多いのはこちらで、以前より月経痛がひどくなってきたという場合には要注意。今、病気がなくても、月経痛を放っておくと子宮内膜症になりやすくなるというデータもあります。治療すれば症状を軽減できるので早めに婦人科へ」
【機能性月経困難症】
痛み物質であるプロスタグランジンが多く作られ、子宮が強く 収縮したり子宮の出口(子宮頚管部)が狭いために痛みが生じる。痛みは周期的に起こり、月経初日や2日目など出血量が多い時に症状が強くなる。思春期に多く見られる。
【器質性月経困難症】
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因で起こる。鈍い痛みなどの症状が月経数日前から始まり、月経中は強くなり、月経後も数日続くことも。年齢が高くなるにつれ増える。
【器質性月経困難症】の主な病気
子宮内膜に似た組織が子宮外に発生する病気。症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛、不妊など。
子宮の筋肉に発生するコブのようになった良性腫瘍。30歳以上の20〜30%にみられる経血量の増加、月経痛、不正出血、不妊などの症状が出る。
子宮内膜が子宮の筋層の中に増殖する病気。30代後半〜40代に多くみられる。月経痛、経血量の増加、出血持続日数の延長などの症状が。
■治療について
経口ホルモン剤などの薬で症状はラクになるので早めに対処を
「機能性月経困難症に対しては、薬での治療が基本です。器質性月経困難症は、原因である病気の治療を行いますが、症状を和らげるための対症療法としてやはりホルモン剤での治療を行います。PMSにも症状に応じて同じような薬を用い、PMDDなど精神的な症状が強い場合には抗うつ薬などを用いる場合もあります」
①鎮痛剤
プロスタグランジンの産生を抑制する非ステロイド性抗炎症薬(ボルタレン、ロキソニンなど)が鎮痛剤として用いられることが多い。「痛みがひどくなるまで鎮痛剤を我慢する人がいますが、我慢できないほどの痛みは治療の対象です。婦人科受診をおすすめします」
②経口ホルモン剤 (OP/LEP)
経口ホルモン剤とは低用量ピルなどのホルモンが配合された薬。「低用量ピルはエストロゲンとプロゲスチンが配合された薬で、排卵を抑制して子宮内膜が厚くなるのを抑え、月経を軽くします。月経困難症や子宮内膜症には保険適応。海外ではPMSの主要な治療法です。また、プロゲスチンだけが配合された薬を用いる場合もあり、こちらも子宮内膜の増殖を抑え、月経痛や経血量の増加を抑えます」
③漢方
経口ホルモン剤に抵抗がある場合などには、漢方薬も選択肢のひとつ。「月経困難症やPMS、PMDDの治療として漢方薬が用いられることもあり、症状を和らげます。その人の体質などによって合う漢方薬が異なるので、医師の診察を受けたうえで取り入れて」
④子宮内黄体ホルモン放出システム( IUS)
「I US」も最近注目されている治療法。「IUSは子宮内に装着するシステムで、プロゲスチンを放出し続けるので子宮内膜が厚くなるのを抑えられ、月経痛緩和や経血量を減らす効果があります。入れていても特に違和感はなく、性交も問題ありません。1 回入れると5 年ほどもち、薬を飲む必要がないので楽に感じる人も多いようです。月経困難症には保険適応。避妊効果も99%以上」
「生活習慣で月経痛やPMS、PMDDを改善することが可能です。上記のような点を心がけて。コーヒー、糖質、アルコールの過剰摂取は症状を悪化させるので控えめに。リラクゼーションを取り入れてストレスをケアすることも必須」
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