☆教えてくれたのは・・・
パーソナル トレーナー 鈴木孝佳さん
①「脳疲労」って? 疲れの種類と要因を知ろう
自律神経の乱れからくる「脳疲労」が現代人の疲れの要因
疲れない体をつくるために、まず知っておきたいのが、疲れの種類。
「運動など体を動かして生じる疲労は末梢性の疲労です。一方、体を動かしてないのに生じるのが中枢性の疲労で、現代人に多い疲労はこちら。これは脳の疲れのことで、原因は自律神経の乱れ。自律神経には、心身をONモードにする交感神経と、OFFモードにする副交感神経があります。本来、副交感神経が優位になるべきOFF時間にも働いたりスマホを見たりしてしまうと、交感神経が優位になり、脳が休まりません。ON/OFFのスイッチがチグハグになり、脳に負荷がかかり続けることで、疲れが取れにくくなるのです」
この脳の疲労には呼吸も関係が。
「現代人の多くは猫背で、厳密には腰は反っていて首と頭が前に出た状態です。自律神経は背骨に沿って走っているので、腰が反っていると交感神経が常に刺激され、脳疲労を招きます。そのうえに猫背だと息を吐きにくくなり、息を吐く量より吸う量が多すぎる過呼吸になりがち。また、口呼吸になると呼吸の全体量が増加すると酸素と二酸化炭素のバランスが悪くなり、結果的に脳に酸素が行き渡らず脳疲労を招くのです」
さらに脳疲労の要因には〝刺激の偏り〟も関係しているそう。
「長時間座りっぱなしで、スマホやパソコンを見てばかりいると、運動不足で体の機能や感覚は衰えているのに対し、視覚から得る情報量は過剰に。このように刺激が視覚に偏った状態だと、脳が自分の体がどこにあるのかを認識できない〝体が迷子〟状態になります。例えば足の小指をベッドなどにぶつける人は多いと思いますが、これは物と自分の体との距離を判断するバランス感覚が衰え、脳内のボディマップがぼやけた〝体が迷子〟状態。こうなると安全が確保できないので、心身が常に緊張して交感神経が優位になり、脳が慢性的な疲労を起こすのです」
《 疲労には2種類ある! 》
① 中枢性=脳の疲れ
② 抹消性=運動した時の疲れ
現代人は ①中枢性の疲れ= 自律神経の疲労が多い!
現代人には、交感神経が優位な状態が続くことで脳が休まらずに生じる、中枢性の疲労が多い。
\現代人の脳疲労を招く要因はこの3つ!/
3つの不健康現象に、心当たりはありませんか?
以下の3 つが、交感神経をオンにし続け、脳を疲れさせる要因。心当たりがある人は要注意。
つまり過呼吸や口呼吸、刺激の偏り、体が迷子の3つを正すのが疲れ解消のカギ。
まずは次のチェックリストで自分の体のどこに問題があるかをチェック!
②5つのチェックリストで今の自分の状態を確認
■『呼吸とボディマップ』5つのチェックLIST
以下の①〜⑤の動きを行ってみて。
①と②は呼吸の、③〜⑤はボディマップの状態をチェックできる。
①&②…呼吸のチェック
③&④&⑤…ボディマップのチェック
❶息止め
❷ロールアップ
❸指指タッチ
❹肘膝タッチ
❺閉眼片足立ち
③平日におすすめ! 脳疲労を解消するストレッチ「呼吸」編
最初に改善すべきは呼吸!【『脳疲労』を解消するストレッチ「呼吸」編】
『脳疲労』を解消するストレッチ① 肋骨や肩甲骨などの動きをよくして、正しい呼吸がしやすい体にリセット
【平日メニュー】
疲れて帰ってきた日は、この「呼吸」編の中から
①+②に④か⑤の3つをやればOK!
特に疲れやすい平日は、帰宅してから、この呼吸編の1と2に、4か5を行えばOK。それもできないくらい疲れている時は、寝る前に最低1つだけでも行って。
Stretch: 1「呼吸」編
❶広背筋を伸ばして肋骨の広がりを正す
ラテラルストレッチ
背中に広がる広背筋とその他の筋肉のバランスがくずれると、肋骨の広がりがじゃまされ、呼吸が浅くなる。息を吸って肋骨を後ろから横に広げて広背筋を伸ばし、呼吸を改善。
❷体をひねって太もも前側を伸ばす
ブレッツェル
太ももの前を伸ばして、体をひねった状態で呼吸をするストレッチ。ふだんは入らないところにも空気が入るようになり、呼吸がしやすくなる。
❸肋骨と肩甲骨の可動域を広げる
ローオブリーク
呼吸のエクササイズであるとともに、肋骨を動かしてほぐす効果も。ツイストの動きで肋骨と肩甲骨の動きが改善して可動域が広がり、呼吸が正しい状態に。
❹肋骨を突き出して呼吸をするクセを矯正
クロコダイル・ブリージング
うつぶせでワニのような姿勢で呼吸をするトレーニング。肋骨を突き出して呼吸をするクセが矯正され、交感神経への刺激が減り、リラックスした呼吸ができるようになる。
❺胸骨を押し上げて背中と腰を丸める
ダンゴムシ・ブリージング
クロコダイル・ブリージングの発展型。胸骨を押し上げて背中と腰を丸める姿勢で呼吸をすることで、肋骨を突き出して呼吸をするクセがさらに改善。
❻背中側の肋骨の柔軟性を高める
ベリーリフト
反り腰で肋骨の動きが不十分な呼吸をしていると、呼吸が浅くなって姿勢がくずれる原因にも。ベリーリフトを行うと背中側の肋骨の柔軟性が高まって呼吸が深くなり、姿勢も改善。
➐置を正す
トラッペスクワット
脇の筋肉を鍛え、呼吸と姿勢だけでなく、筋肉や関節の動きも改善するトレーニング。肋骨と肩甲骨の位置が整い、猫背や反り腰が改善するほか、"体が迷子"の改善にも。
④刺激をプラス!疲れない体を作るストレッチ「筋肉と関節」編
体を整えて細かな感覚を取り戻す!「筋肉と関節」編【『疲れない体』をつくるストレッチ】
『脳疲労』を解消するストレッチ② 呼吸が整ったら、皮膚にあるセンサーの表在感覚と、筋肉の伸びなどを察知する深部感覚を鍛えるエクササイズで、ボディマップを明確に
Stretch: 2「筋肉と関節」編
❶胸の筋肉と肩の関節を動かす
ソラシックスワイプ
胸の筋肉と肩の関節を動かすエクササイズ。 体をひねる動作は、ボディマップの強化に最も効果的。
❷太もも裏側を鍛え、背骨の感覚を高める
ヒップリフト
太ももの裏側を鍛えつつ、背骨の感覚を高められるエクササイズ。太もも裏側を鍛えると、正しい姿勢で立てるようになり、血流もよくなる。
❸腹筋を鍛えて、肋骨や腰の状態を整える
デッドバグ
肋骨が前に突き出たり、腰が反るのをリセットするエクササイズ。腹筋を使うことで肋骨や腰の位置を正しく保てるようになり、手足を動かしても体幹を安定させられるようになる。
⑤“体が迷子”状態を改善するストレッチ「バランス感覚」編
バランス感覚を鍛えるエクササイズ【『脳疲労』を解消するストレッチ「バランス感覚」編】
『脳疲労』を解消するストレッチ③ 頭の正しい位置を脳が理解できるようになり、"体が迷子"が改善
Stretch: 3「バランス感覚」編
❶頭を動かして、バランス感覚を強化
ローリング ライクアボール
速度や前後、高低と変化をつけて頭を動かすことでバランス感覚を鍛えるエクササイズ。背中を丸めてボールのように転がるのがポイント。
❷両脚を一直線にしてバランスを保つ
ハーフニーリング
片膝立ちになり、綱渡りの綱の上にいるような状態をつくって保つことで、バランス感覚を改善するエクササイズ。簡単にできる場合は、目を閉じて30秒キープしてレベルアップを。
❸頭を前後左右、上下に動かす
シングルレッグタッチ
片足立ちでバランス感覚を鍛えつつ、手足をタッチして、ボディマップを強化。頭を前後左右、上下に動かしながら姿勢を保つことで、バランスを保つうえで重要な小脳が活性化。
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