これまでにマリソルに何回も登場していただいた、整形外科医の中村格子先生と、産婦人科医の高尾美穂先生。おふたりとも医師として活躍しながら、健やかな体についての発信を続けています。女性の体や心、生き方などについておふたりに語っていただきました!
産婦人科医 高尾美穂さん
イーク表参道副院長。婦人科スポーツドクター。ヨガ指導者。診療の傍ら、アプリstand.fm『高尾美穂からのリアルボイス』でリスナーの多様な悩みに回答。10月に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)が刊行予定
整形外科医 中村格子さん
医療法人社団BODHI Dr.KAKUKOスポーツクリニック理事長。日本オリンピック委員会(JOC)サポートスタッフ。日本体操協会専任メディカルスタッフ(新体操)。著書に『大人のラジオ体操』(講談社)など多数
アラフォーは今まで続けてきたことが花開く時期
――おふたりは、もともとお知り合いだったそうですが、出会われたきっかけは何だったんでしょうか?
中村 最初に高尾先生とお会いしたのは、7〜8年ほど前で、女性スポーツ医学の勉強会だったんですよね。
高尾 格子先生はそのころ、すでにいろいろなメディアで情報発信をされていましたが、整形外科医としてきちんと地道にお仕事をされながら、発信を続けてらして、女医の希望の星のような先輩でした! その後、格子先生に改めてお会いして、相談にのっていただいたんですよね。
中村 当時、女性の婦人科領域について正しい情報を発信していただける人はいないかと思っていた時に高尾先生と出会って。まさに適任だと思って、ジョイセフの活動をはじめ、いろいろな場で高尾先生とご一緒するようになったんですよね。40代になると〝人生上がり〟と思う人も多いですけど、高尾先生はお会いした当時、40歳ごろでしたが、まだまだこれからやりたいことを考えられていましたよね。
高尾 私は自分がこうなりたいなというイメージがあったんです。産婦人科医で、スポーツドクターで、ヨガを続けていて。だからこそ伝えられることがあると思っていました。そのためにも大学病院を39歳で辞めて。なんとなく今のようになったわけではなく、元からイメージしていました。
中村 私も30代のころから、体のことを多くの人に発信できるといいなと思っていたんですが、『大人のラジオ体操』という本を出させていただいたのが42歳の時。私もずっと思っていて続けていたことが実現したのが40代になってからなんです。読者のかたにも、今、思っていることが花開くのが40代だなと思って過ごしてほしいですね。
――アラフォー女性の体で、今後のために知っておくといいのは、どんなことでしょうか?
中村 まず更年期は必ず誰にでも訪れるということ。整形外科の面から言えば、更年期には筋・骨格系の症状が出やすいんです。女性ホルモンのエストロゲンは、体の結合組織に水分をためこんで体を柔らかくしたり、スムーズに動くようにしてくれるんですが、更年期にエストロゲンが枯渇すると水分量が低下するので、摩擦が生じて痛みや炎症が起きて、腱鞘炎や肩こりといった不調が起きやすくなるんです。
高尾 婦人科の面では、エストロゲンが減ってくることで、生理の周期や期間や量にばらつきが出るということですね。ほてりやのぼせ、発汗、めまい、不眠、落ち込みといった更年期症状が出始める人もいます。体の内側ではコレステロール値が上がってきたり、血管の弾力性が失われてきたり、骨がもろくなり始めたりといった変化もじわじわと始まります。
中村 実は私も、今まで体力に自信があったんですが、3年前に突然、左目が見えなくなってしまったことがありました。検査を受けて病気がわかり、その後治ったんですが、半年後に今度はめまいが起きて倒れてしまって。それもすぐ治りましたが、今思えば更年期の不調が出てしまったのかなと。
高尾 大変でしたね。私も前に比べれば疲れやすくなりました。前はジムに行って夜10時ごろに帰ってくるくらいだったのに、今は10時にはもう眠くなって寝ようと思いますからね(笑)。
中村 寝ることって大事ですものね。 高尾 睡眠は本当に大事です。私、前に夜勤のある職場にいた時、いつか絶対に夜に起こされない仕事をしようと思って、そのためにも職場を変えたんですよね。ちゃんと寝るって、自分で強く思わないとできないんです。アラフォー女性の多くは睡眠不足なので、ぜひそこは改善していただきたいです。
更年期症状が出始めても対策はあるから前向きに
中村 でも、更年期を墓場に入るくらいに恐れている人、多いですよね。
高尾 そうなんですよ。生理が終わるとなると〝女が終わっちゃう、ガーン〟って思う人も多いみたいで。え、今まであんなに生理がいやだって言ってたのに? って思います(笑)。今は更年期の不調が出ても対策はたくさん用意されていますし、閉経も、今まで長い間、女性ホルモンに振り回されて大嵐だった状態から、穏やかな凪になると思って前向きにとらえてほしいですね。更年期って言っても人生まだあと半分ありますから。
中村 運動習慣でも予防できますし。
高尾 そうそう、運動習慣は更年期のほてり、汗、うつ、寝つきの悪さに効果があることがわかっているんです。それに閉経するとエストロゲンの恩恵を受けられなくなるぶん、自分の生活習慣がモロに体に出るんです。だから運動と食事で適正体重を保つことは大事。生活習慣って急には身につかないから今から始めてほしい。でもどんなに運動が大事って伝えても、なかなかやってもらえなくて。それでもやっぱり大事だから言い続けてますが(笑)。
中村 運動を少しでもいいからやってみて、あ、調子がいいなって体感すると続きますよね。今から自分に合う運動を見つけておくといい。ずっと憧れていたバレエをやってみるとか。40歳から始めても、60歳まで続けていたら20年もやっていることになりますから ね。あと女性は一緒にやる人がいると運動が続くかたも多いです。ジム友ができたりとか。ちなみに私は、毎日の犬の散歩で一日の歩数のノルマを達成することと、週1のヨガが習慣です。
高尾 私は毎朝のヨガと、週4くらいで筋トレもしてます。ウチは猫ちゃんがいるんですが、ワンちゃんは散歩に行けるのがいいですよね。
――40代になると体のあちこちに不調が出ますが、そんな不調とどう付き合っていけばいいんでしょうか?
中村 不調が出たら放っておかないことです。例えば、膝が痛いと感じたら、変形性膝関節症の入口だったりするんです。だから、もう年だからしょうがないと放っておかず、不調の目は早めに摘んでおくことですね。
高尾 自分の体に無頓着な人、いですよね。不調が出た時、何が原因かを自分で考えてみない人も多いですし。もちろん病院に行くことは大事ですが、医療に丸投げもよくない。
中村 そう、今アラフォーの人が年を取った時、医療費負担は必ずもっと増えているから、自分の体は自分で守れるようにしておくべきですよね。
高尾 本当にそう思います。60〜70代になると、見た目も体の内側も、人によってすごく差が出ると思うんです。
中村 70代でランニングをしている人もいれば、歩くのも困難になっている人もいますからね。
高尾 運動習慣をもつとか、食生活を整えるとか、しっかり睡眠をとるとか、健康にいいことはわかっているんだから、やはりそれはやっておくことです。やっていた人とやっていなかった人では大きな差がつきますから。
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