【今月のお悩み】どんな女性が、真の意味の「勝ち組」なのでしょう?
(大阪府・こなもん・37歳・会社員/趣味:娘とのお出かけ、カフェに行くこと、ネイルマッサージ)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
最期に「あー、楽しかった!」 と言えれば、人生大勝ちです
僕は、前から「歳を重ねる」という表現がいけないと思ってるんです。それは「経験を重ねる」というような、何かいい方向に向かってるんじゃないか感が出てしまうからです。
でも、実際には歳は「取る」もので、当然、人間も万物流転のルールには逆らえません。つまり、こなもんさんにかぎらず、すべての人が平等に歳を取る=理想の自分がトーンダウンするわけで、そこに「勝ち」も「負け」も存在しません。
こなもんさんが「勝ち組」としてイメージしている女性たちは、お金とか名誉とかを持っている人、立場のある人ということのようですが、そうした立場も、いつ逆転するかわかりません。特にこのご時世、会社が倒産するかもしれないですし、その立場になってみないとわからない悩みもあるでしょう。
それでも、こなもんさんが「勝ち組」という幻想をおもちなら、「私はずっと勝ち組」と強く思い込む気持ちが大切です。そもそも勝ち負けを決めるのは自分だと思うことです。「ドゥーイットマイ“勝ち組”!」と日ごろから、念じましょう。
こなもんさんのご趣味を拝見すると、いずれも幸せそうに思いますが、どうでしょう? それこそ立派な勝ち組じゃないですか。
コロナ禍のステイホーム期間、僕はよく、THE 虎舞竜の『ロード』の一節、「何でもないような事が幸せだったと思う〜」というところを気がつけば口ずさんでいました。幸せって、なんでもない時にはなかなか実感できないものなんですよね。非常時になってようやく「あの時はよかった」なんて比較じゃないと思えない人間は、とても悲しいもんですよ。そこは気をつけて、なんでもないようなことから幸せを見出し、さらにフィックスするように「ドゥーイットマイ“勝ち組”」と、念じてください。
そして、死ぬ間際に「あー、なんて楽しい人生だったことよ」と言えれば万々歳。人生の最期にこのひと言を吐くために人は生きるべきなんじゃないかと思います。傍からは大変な人生に見えていても、本人が楽しかったと言うのなら、それは確実に勝ち組でしょう。
ただ、ふだんからその最期のひと言を言い慣れていないと、いざという時に出てこない可能性があります。だから、こなもんさんの場合、娘さんとのお出かけの帰り道、「あー、楽しかった!」と言うようにしてください。できるだけ大きな声でね。そうやって口ぐせにしてしまえばいいのです。
そうすると、だんだん毎日がなんでもない日じゃなくなってきます。それを僕は「自分洗脳」と呼んでいるのですが、そうやっていれば少しは人生の勝ち、負けなんて気にならなくなるんじゃないでしょうか。
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みうら・じゅん●イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生む。近著に『みうらじゅんの松本清張ファンブック 清張地獄八景』(文春ムック)、『ひみつのダイアリー』(文春文庫)など
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しんさん・なめこ●漫画家、コラムニスト。巫女的な感性であらゆる事象を取材。近著は『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 』『愛すべき音大生の生態』(ともにPHP研究所)など
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