☆お話をうかがったのは…
広尾プライム皮膚科院長/谷 祐子先生
美容皮膚科に特化した専門クリニックとして、肌悩みを抱える女性たちを救済。多くの症例を診てきた経験値の豊かさに患者からの信頼も厚い
スタイルM代表/村木宏衣さん
アンチエイジングデザイナー。整体、エステ、西洋医学、鍼灸、骨格矯正に広く精通。独自メソッドの小顔シェイプや頭筋膜リフトなど結果がすぐ出る施術が人気
避けられない年齢変化も変えられる生活習慣ですっきり! むくみを解決
大人の女性を悩ませる、むくみという現象。いったい何が理由でどんな時に起こるのか、まずはその現実を女性の体に精通したおふたりに教えていただいた。
「そもそもむくみは、全身の細胞で不要になった体液が、体の中心部に戻る途中で、血管やリンパ管から漏れて細胞間にたまってしまっている状態。健康な人にも起こる現象です」(広尾プライム皮膚科院長・谷祐子先生)
それなのに女性に多いのは?
「筋肉の収縮や代謝がこの水分を押し戻す“動力”となるので、男性より筋肉量が少なく、基礎代謝も低い女性に出やすいんです。なにより、女性は月経前に水分をため込む働きのある黄体ホルモンが増えるため、ひと月の4分の1はむくみやすい体質になり、さらに閉経を迎えるとほぼこれと同じ状況が続くことに」
アラフォー世代はこの過渡期というわけだ。加えてむくみの原因は、主にその生活習慣にこそ問題があるケースも多いという。
「第一は、脚の筋力を落とす運動不足の生活。そして代謝をさらに下げる冷えの問題。さらに栄養を偏らせる食生活の乱れ、です」「加えて現代人ならではの問題のひとつが、常に画面を凝視するスマホやPC習慣による姿勢の悪さやコリ。リンパや血流を阻害する大きな要因になっています」(スタイルM代表・村木宏衣さん)
原因① 運動不足
むくみ改善の動力は、筋肉を動かすこと。その習慣がなければ、重力にまかせるがまま末端に不要な水分をため込むだけ。また、姿勢の悪さや肩コリも同等。「コリやゆがみは筋肉の中にも老廃物をため、筋肉を固まらせます。これで使いやすい筋肉だけに頼るので、さらなるゆがみがリンパや血流の妨げに」(村木さん)。課題はほぐし&筋力アップ!
【こんな人は要注意】
□立ちっぱなし、座りっぱなしの時間が長い
□日ごろから運動する習慣がない
□気がつくと脚を組んでいる
□スマホやPCが手放せない
□肩コリ、首のコリがひどい
原因② 冷え
冷えは冷たい飲み物やアルコールなどにより誘発されるほか、下着や服の締めつけにより血行が滞ることで"寒さ"を感じるケースも。自律神経の乱れや女性ホルモンの乱れがもとで、冷えにつながることもあるのであわせて確認を。「また甲状腺機能が弱っても基礎代謝や体温は低下するので、数日たってもむくみが続くなら、まず検査を」(谷先生)
【こんな人は要注意】
□入浴は、基本シャワーですませる
□冷え対策より、ファッション性を優先
□シェイプ下着やタイトデニムを愛用
□いつも手足の末端が冷たい
□ビールやアイスなど冷たいものをよくとる
原因③ 食生活
毎日の食事ですぐにむくみに直結するものといえば、塩分。「とりすぎは問題ですが、塩分は腎機能が正常なら通常は2 〜3 日で排出されるもの。それよりも栄養が偏ることで、体内で必要な組成成分が作られず不足するほうが危険です」(谷先生)。この場合、血中濃度を保つために放出された水分が、むくみの原因に。今こそ偏食の悪循環を断ち切る時!
【こんな人は要注意】
□味つけは濃いめが好き
□インスタント食品をよく食べる
□お酒もけっこう、いけるクチ
□スナック菓子をよく食べる
□ダイエットを繰り返しがち
原因④ 自律神経・ホルモンの乱れ
ストレスが増え始めるアラフォー世代に増えてくるのが自律神経のバランスにかかわるこのタイプ。「更年期にさしかかり、社会的にも私生活でも多くの悩みを抱えがちなため、気づかぬうちに不調に襲われている人も多いんです。まずは質のいい睡眠やリラックスできる環境づくりを整えて、イライラや鬱々とした気分のリリースを」(谷先生)
【こんな人は要注意】
更年期が始まったと感じているストレスのタネを抱えている責任の大きい仕事に就いているディープに落ち込むことがある寝つきが悪く、眠りも浅い
■原因① 運動不足
むくみケアは、リンパ・ 筋肉・骨の三位一体で
「現代女性に一番多いむくみの原因がこの運動不足。手足の末端の血管から漏れた余分な水分が、筋肉の収縮運動という動力を失って、手足の末端にとどまってしまうのが問題です」(谷先生)
かつてなら解決策はマッサージ。ところが、スマホやPCの普及で姿勢が悪くなりがちな現代人は、「凝った筋肉に引っぱられた骨のゆがみによってもリンパの流れが滞る傾向に。まず筋肉と骨が接合する深部まで働きかけて、ゆがみを正す習慣をつけることが、根本的なむくみ改善への近道に」(村木さん)
【Point】腸骨リンパを意識せよ!
リンパの"フィルターづまり"を最初に流して、配管掃除を!
「むくみ対策で第一に意識したいのが、骨盤の内側にある腸骨リンパ。周辺のリンパが集まるフィルターでもあり、ここが滞れば腹部もむくみ、筋肉の働きにも悪循環」と村木さん。つまり、まずつまりを除くべきはここ!
【こんな人は腸骨リンパ滞り警報!】
★一日中座りっぱなし、あるいは立ちっぱなしで、同じ姿勢でいることが多い
★おなかを突き出して立つくせがある
★すり足ぎみで歩くくせがある
★おなかが冷えやすい
★腰の高さが違う
★腰痛がある
★冷たい飲み物、食べ物が好き
★下っ腹が張っている、硬い感じがする
★立っている時に片足に重心を置くことが多い
★便秘になりやすい
【Point】パーツ別・むくみ流し法をマスター!
使えていない筋肉を効率よくほぐして老廃物や水分を排出
リンパの通り道を整えたら、いよいよむくみの2 大パーツを攻略。「スマホなどで前傾姿勢になる時間が増えた現代人は、前に縮む筋肉ばかりを使いがち。足の爪先や首の上げ下げで、背面の滞りを流してむくみの解消を」(村木さん)
■原因② 冷え
温めておけばいい。 その常識はもう古い!?
「冬に起こるむくみの最多原因は“冷え”です」と、谷先生は断言。「寒くなると、心臓からも遠く血流が行き届きにくい手足の先の末梢血管が収縮してしまうため、むくみが起こりやすいんです」
では"温め"こそが有効策?
「直接的に血流も高まるデトックス効果の高い入浴はもちろんですが、その実、脂肪が最も燃えやすくなる=代謝が高まるのは、気温17℃の時だと言われているんです。室温に注意しながら、リンパが密集する箇所(手首、足首、首など)を刺激するのも効率的です」
【Point】デトックス風呂で代謝アップ!
老廃物はためずに流す!めぐりを高める入浴剤の活用を
「むくみ対策のひとつ、代謝を上げるには、温浴効果とあわせて老廃物を排出する入浴剤を使うのも手」と谷先生。ちなみに先生個人は「エプソムソルトと日本酒を両方投入」するそう。医師のデトックス入浴、まねしたい!
(写真中央)海水を人の体液に近いミネラルバランスにフリーズドライ。フィトメール オリゴメール アローム280g¥4,620/アブコ/フィトメール事業本部
(写真右)火山灰ベースのクレイが、汚れを吸着。クレイド キャニスターセット 400 400g¥4,900/マザーアース・ソリューション
■原因③ 食生活
むくみに直結! 敵か味方かワースト食材の存在
体の水分のうち、その3分の2が細胞外にあるといわれ、むくみのもとになるのが間質液という水分。この量を決めているのが、体内に入ってくる“塩分”。
「体内では、塩分に含まれるナトリウムの量に応じて水分を調節し濃度を整えているのですが、塩分1に対して約7倍もの水分が蓄えられてしまうんです」(谷先生)
濃い味で添加物も多いインスタント食品やお総菜で食事をすませることも多い現代人に、むくみが起こるのはもはや必然?
「度重なるむくみをただの現象ではなく、体からの警告ととらえれば見方は変わるはず。習慣化して病に変わる前に、バランスの取れた食やサプリ選びを身につけて、めぐりのいい体を取り戻して」
【Point】何はなくとも、塩分コントロール!
塩分=ナトリウム。運び屋=カリウムの投入ですばやく排出
私たちの体は塩分をとりすぎると、体内のナトリウム濃度を薄めようと水分を多めに抱え、これが毛細血管からにじみ出して、むくみが起こる。塩分過多が思い当たるなら、排出する働きをもつカリウム含有食材を、日々多めに摂取しよう。
<GOOD! カリウム含有食材>
★海藻類 ★あずき ★かぼちゃ ★あしたば ★アスパラガス ★きゅうり ★セロリ
<NG! 塩分の多い食材>
★カップ麺などのインスタント食品 ★ラーメン、かけうどん ★牛丼、天丼、親子丼などの丼もの ★お酒のつまみ、漬物 ★かまぼこ、おでんの種など練り物 ★ハムやベーコンなどの加工食品
■原因④ 自律神経・ホルモンの乱れ
ストレスを手放す秘策を身につけて
ホルモンバランスの変化やストレスの波に、自律神経のバランスがくずれがちな40代。
「実は、自律神経はリンパや血流の調整役を担っているので、この世代のむくみも関連症状のひとつである可能性も。この場合は、女性ホルモン様成分を補うことで改善できます」(谷先生)
また自律神経は、リンパが集中する腸の働きとも関連があるそう。
「腸の働きは副交感神経優位のリラックス時にこそ活発に。ストレスリリーフの策を何かもつことも強みになるはずです」(村木さん)
【Point】ストレスコントロールを常に心がける
アラフォー世代に急増するストレスは、眠りや免疫にかかわる副腎ホルモン、コルチゾールを急増させる厄介な存在。「なにより大切なのはリラックスできる体調&環境づくり。専用サプリに頼るのも一策です」(村木さん)
(写真右)目もとじんわり。めぐりズム 蒸気でホットアイマスクラベンダーセージの香り5枚入(オープン価格)/花王
【Point】ゆらぎ解消系サプリも活用
エクオール、CoQ10……"ゆらぎ"サプリに頼って穏やかに
女40代はゆらぎの時。「閉経に向けて女性ホルモンの数値が下がるので、心身のバランスがくずれがち。この時期こそ女性ホルモン様成分の出番。同時に代謝促進のビタミン群やむくみ対策に鉄の摂取も考えて」(谷先生)
(写真中央)コエンザイムQ10にスーパービタミンE=トコトリエノールをプラス。サプレックス T3-Q10 90粒¥7,000(編集部調べ)/資生堂
(写真右)不足すると貧血の原因にもなる鉄分を効率よく摂取可能。吸収率を重視したヘム鉄をはじめ、亜鉛、マンガン、銅などが主成分。い〜鉄 60カプセル¥5,700/松倉クリニック&メディカルスパ