ケビ子です。「ケビ子の婚活記」でお世話になっておりました。
ここ数か月、連載を休んでいたのはワケがあってだね。
そうなんです。乳がんになってしまったのだ。
47歳11か月で告知を受けた我が乳がん。
現在もホルモン治療をしながら日常生活を送っているが、乳がんになって感じたこと、新しい価値観を率直に記録したい。
【コロナ禍で自粛していたエステと健康診断】
長い事結婚ができなかった私があれこれと婚活に励んだ結果、ようやく43歳と半年で結婚した。事の顛末は「ケビ子の婚活記」に記載したので読んでほしい。
結婚が決まった後も「誓いの言葉を素直にハイ、ハイと回答できるか」と夫に詰め寄っては困らせ、我ながら面倒な女であった。
ヴィクトリア・ベッカムは「病める時も健やかなるときも夫を愛すると誓うか」の問いに「No」と回答したのだと雑誌で読んだ。
私もNoまでは言わないが「場合によっては」と前置きをつけたいなと夫に言ってしまったところ、夫は「君ね、家族になるんだからね」とあきれていた。
こじらせ妻とまじめな夫が夫婦となって4年と数か月経った今年の夏前に事は起きた。
5月下旬に1年2か月ぶりにエステに行った。
コロナ前までは決まったサロンに毎月通っていたのだが、そろそろ違うところに行きたいなと足が遠のき始めていたところで、コロナのせいにしてタイミング良く疎遠にした。
ご存じの通り、2020年に入ってすぐに世界中が新型ウイルスのパンデミックとなった。
出張も旅行もできない、出社もできない、スーパーでの買い物にはおっかなびっくり使い捨て手袋をして出かけた。
あらゆる行動が制限され、そして自粛もした。
そうした行動自粛の一つにエステと健康診断があった。
母が乳がんサバイバーのため、マンモグラフィ、超音波検査を毎年交互に受診してきたのだがコロナ禍で検査を後回しにしてしまった。
最後の検診は2019年12月。
起きて食べて呆けて寝るだけの日々でもパンデミック禍での緊張感が継続しているからか、体の疲れを感じて新しいエステを探して行ってみた。2021年5月末のことである。
初めての担当者はカウンセリングシートに書いた私の年齢を見て「お肌のお手入れってどうしているんですか?」とそれエステの人が聞く?ということを聞いてきた。
「自分と変わらない年齢なのにお客様は全然皺がなくて」とお世辞一発、気分良くベッドに横たわった。
初めての店で受けるマッサージだから多少の痛さは「こういうものか」で流すものだが、確かにこの時に左胸の内側に激痛を感じた。痛い!と顔をしかめつつも久しぶりだから凝っているのだな、という思いと先ほどのお世辞のお礼に黙っているかという妙な気持ちが相まって耐え難きを耐えた。
エステで良くなった血行だが一気に血の気が引くような感覚を覚えたものの、いやいやもうすぐ生理前じゃないか、としばらく様子を見ることにした。
エステの1週間後に生理になった。
47歳と10か月。更年期と呼ばれるような年齢に入っているのだが、それでもまだスケジュールをきちんと守って毎月ほぼ28日周期で律義にやって来る生理。
PMSはひどい時もあれば全くない時もあり、胸が張るのはいつものことだからと、指にひっかかるしこりにあれ?と思いながらもPMSかもしれないとやり過ごし、日常にまぎれた。
あいつがまだいるではないか!
乳がんかもしれない、乳がんかもしれない、乳がんかもしれない
乳がんだったらどうしよう、待て待て乳腺が炎症を起こしているかもしれないし、しかしもし乳がんだったら・・・
乳がんかもしれない、もしそうだったら今のように楽しく生活できないかもしれない。
そうなったら夫は嫌気がさして私を捨てるかもしれない。
夫の愛を疑い、自信が今一つ持てない自分がいた。
結婚式が頭に浮かんだ。
「病める時も健やかなるときも妻を愛すると誓うか?」「はい誓います」
夫は笑顔で「誓う」と言ったけど、それは健康だからこそのライトな誓いだったのではないか、と目の前が真っ暗になった。
夫婦としての歴史の浅さとカスガイがない事実がとたんに自信のなさとして現れた。
血の気は引きながらも冷静にすぐに近くの総合病院に電話をしたところ、2日後の土曜日に診察があるとのことで、夫がゴルフで不在予定なのをいいことに黙って行くことにした。
なんでもなければオオゴトにしないで済むだろうとの判断だった。
つづく
*次回【Vol.2】は12/24公開予定です
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている。Instagram(@kbandkbandkb)