<第1位>「女の子らしさ」は誰のため?『さよならミニスカート』で考えてみよう!
じつは今回、紹介する牧野あおい先生の大ヒット作『さよならミニスカート』のヒロイン・神山仁那(かみやまにな)もスラックス姿で学校に通っている女の子です。ショートカットで、不愛想で、一見、男の子みたいな雰囲気なんですが、彼女がそんな姿をしているのは、あるトラウマを抱え、過去を隠して生きているからなのでした。
その秘密とは、彼女が「PURE CLUB」というアイドルグループの不動のセンターとして活躍していた元アイドルだということ。雨宮花恋(あまみやかれん)という芸名のように、ミニスカートのよく似合う可憐な女の子でした。ところがあるとき、握手会であぶないファンに斬りつけられ、心と体に大きな傷を負い、芸能界を引退。襲ってきた犯人もつかまっていないことから、元アイドルということを隠し、スラックス姿のマスキュリンな女子に姿を変えて、知らない町で学校生活を送ることになったのでした。…
<第2位>猛暑で頭がぼんやりしたら、ゆるさとギャグが心地良い『しろくまカフェ』で、癒されよう!!
タイトル通り、物語は、シロクマさんがマスターをしているカフェが舞台です。シロクマさんは、ダジャレが得意で、なかなかの曲者ですが、お店は個性豊かな常連さんたちでにぎわっています。カフェの隣に住むマイペースなパンダくん、不動産経営者で常識人のコウテイペンギンさん、グリズリー・バーを経営するワイルド派のグリズリーさん。勝手気ままな彼らの他愛ない日常生活や人間(動物?)模様。読んでいると、ほのぼのして癒されつつ、時折、織り交ぜられる脱力スパイスにクスっとさせられます。
何よりたまらないのは、ヒガ先生が描く絵のタッチです。キャラクターは擬人化されているのですが、絵はデフォルメされてなくて、あくまで写実的なんですね。たとえばシロクマさんやグリズリーさんの口元。一見、かわいいけれど、口元の表情に野生が漂っていて、それがなんとも言えず、愛おしいんですよ!!…
<第3位>『ベルサイユのばら』を読んで、心にいつもオスカルさまを。
池田理代子先生の『ベルばら』といえば、知らない人はいないくらい有名ですよね。1970年代に描かれた作品ながら、50年近くたった今も色褪せることない不朽の名作です。舞台は18世紀のフランス・ブルボン朝後期。王妃マリー・アントワネットと、男装の麗人オスカルの人生を交錯させながら、フランス革命に向かっていく波乱万丈な時代を描いた歴史大河です。
香港のデモに触発されて、この前もまた読んでしまいましたが、やっぱりオスカルさまがカッコイイんですよ! フランス革命は、身分制などを廃止して、自由や平等を手に入れるために平民が蜂起した市民革命ですが、オスカルは、「自由であるべきは心のみにあらず!! 人間は髪の毛1本、指1本も自由でなくてはならない」という信念のもと、貴族でありながら、最後は平民側について闘います。…
<第4位>『こどものおもちゃ』を読めばわかる、こどもをなめたらいかんぜよ!
倉田紗南(くらたさな)は、小さいころに「劇団こまわり」に入り、子役として活躍する元気いっぱいの女の子。明石家よんま(笑)が司会を務める人気バラエティ番組『こどものおもちゃ』にレギュラー出演していて、ちょっとした有名人。トーク上手でバラエティはお手のものだし、マネージャーの玲(れい)くんはイケメンだし、友達ともうまくいってるし、ハッピーな毎日を送っています。
そんな紗南の頭を唯一、悩ませているのは、クラスメートの男子たち。授業中に騒ぎまくって先生を泣かせたり、女の子に嫌がらせをしたり。中でもリーダー的存在の羽山秋人(はやまあきと)は、頭がキレるぶん、タチが悪くて、超ムカつくヤツ。正義感の強い紗南は、そんな秋人とバトルになり、クラスは女子VS男子の闘いに。でも、紗南は次第に秋人が家庭に問題を抱えていることを知り、彼に心を寄せていくのでした。…
<第5位>ドラマ『おっさんずラブ』にハマった人におすすめ!ボーイズラブマンガ『君恋 社会人編』
それと新鮮だったのは、いい年をした、普通のサラリーマンの話だったこと。思い起こせば25年前、私が初めてサンフランシスコに行ったとき、ひげ面のおっさんたちが手をつないで歩いているのを見てびっくりしたもんです。だって当時はボーイズラブといったら、『風と木の詩』みたいな美しい少年たちの物語だと思っていたから。でも、それこそ幻想で、恋に年齢も性別も関係ない!おっさんとおっさんも恋に落ちるんです。
というわけで、今週紹介する『君恋 社会人編』は、社会人のボーイズラブをテーマに、10人のマンガ家が短編を書き下ろしたアンソロジー。ほのぼのした純愛あり、ハードなラブシーンありと内容はさまざまですが、その中でパクチー先輩がキュ~ンときたのは、日高ショーコ先生の『Magic Hour』。
主人公の佐倉と同僚の有村は、同期入社のサラリーマン。同じ部署で働き、プライベートでも一緒に飲んだり、登山したり。口には出さないものの、お互いに強く惹かれ合う関係。でも有村の死によって、二人のあやふやな関係は、突然、終わりを告げます。…
<第6位>一条ゆかり特集① 女のプライドが激突!名作『デザイナー』で濃密な時間を
少女マンガの歴史に燦然と輝く金字塔『デザイナー』は、40年以上前の作品なのに、今観ても色褪せない作画とストーリー。パクチー先輩も子どもの頃に読んで、めっちゃ衝撃を受けた作品です。とにかく内容がぶっとんでいました。
孤児院で育ったトップモデルの亜美(あみ)は、デザイナー界に君臨する鳳麗香(おおとりれいか)が自分の母親であることを知り、そのショックから事故をおこし、モデルの道を閉ざされてしまいます。自分を捨てた母に復讐するために、結城コンツェルンの朱鷺(とき)の手を借りてデザイナーへの道を歩み始めますが、そこにはさらなる悲劇が待ち受けていました。…
<第7位>何度も恋をした人も読みたくなる!『初めて恋をした日に読む話』
ヒロインの春見順子(はるみ じゅんこ)は、中学高校では成績トップだったものの、東大受験に失敗して以来、両親からの信頼を失い、自分も自信をなくし、人生すべてが下り坂に。塾講師の仕事にもやりがいを見いだせず、30歳を過ぎて婚活サイトで相手探しをする日々。たいしてときめかない相手でも、孤独死するよりはマシかも……という理由で、つきあっていた彼氏にもフラれてしまいます。「ボーっと生きてんじゃねーよ! 」とチコちゃんに怒鳴られそうなヒロインなんですね。
そんな彼女が偶然、出会ったのが、髪をピンク色に染めた不良高校生の由利匡平(ゆり きょうへい)。母親を早くに亡くし、エリート官僚の父親は仕事ばかりで、愛情を知らずに育った匡平は、人生をすっかり諦めてグレていたのですが、順子との出会いをきっかけに、自分をバカにする父親を見返そうと東大受験を決意。順子とともに受験勉強を始めるのでした。…
<第8位>一条ゆかり特集③ 『有閑倶楽部』は学園アクションコメディの金字塔!
さて、本日紹介するのは、そんな一条先生の代表作のひとつ『有閑倶楽部』。大ヒット作品なので、きっとご存知の方も多いでしょう。
舞台は名家の子弟が通う聖プレジデント学園。その生徒会(別名・有閑倶楽部)に集まったのは、学園の中でもひときわ権力と財力と才能を持ち合わせた6人。彼らが各々の能力を発揮して、さまざまな事件を解決していきます。
なんといっても魅力的なのは、有閑倶楽部の6人のキャラクター! 超人的な運動神経を持つ野生児・剣菱悠理(けんびしゆうり)を筆頭に、有閑倶楽部の頭脳・菊正宗清四郎(きくまさむねせいしろう)。才色兼備の大和撫子・白鹿野梨子(はくしかのりこは)、警視総監の一人息子・松竹梅魅録(しょうちくばいみろく)、容姿端麗の美女・黄桜可憐(きざくらかれん)、ナルシストのプレイボーイ・美童グランマニエ。
6人のキャラクターが生き生きと描き分けられていて、「悠理の食べっぷり、最高だわ」「つきあうなら美童くんかしら?」などと、読み進めるうちに、それぞれに深い愛着がわいてきます。…
<第9位>一条ゆかり特集④ 働くアラフォー必読!女性の生きざまを『プライド』で学ぼう
ヒロインのひとりは、オペラ歌手を目指す音大生の麻見史緒(あさみしお)。お金持ちの家に生まれた彼女は、お嬢様気質でプライドが高く、優等生的なタイプ。ところがある日、父の会社が倒産し、人生が一変。窮地に追い込まれます。
一方、同じくオペラ歌手を志す緑川萌(みどりかわもえ)は、母一人子一人の貧しい家庭で育った苦労人。キャリアアップのためには、人を利用したり、裏切ったりすることも厭わないしたたか&しぶとい性格で、史緒のことも陥れようとします。
どんな窮地でも自分のプライドを捨てずに、ブレない生き方をする史緒ちゃんと、プライドは捨てて、泥をなめながらでも必死にくらいついて、成りあがっていく萌ちゃん。二人の生きざまはまさに対照的。どっちが正義で、どっちが悪ということではないのだけど、作品の根底にあるのは、「プロとして、どうあるべきか」という問いかけ。
そもそも初期の作品『デザイナー』を描いたとき、一条先生はタイトルを『プライド』にしようと思ったそうですが、少女マンガとしてだけでなく、働く女性としても第一線を走っていた一条先生の哲学がこの作品には、たくさんちりばめられています。…
<第10位>『潔く柔く』を読むと、アラフォー女子も恋をしたくなる!?
全編を通してストーリーのひとつの核となっているのは、高校1年生で、同じ学校に通う幼馴染のカンナとハルタの物語です。ハルタは美少女のカンナに思いを寄せているものの、思いを打ち明けられないでいます。
一方、カンナは、ハルタの気持ちに気づきつつもクラスメイトの真山と夏祭りへ。そして二人が花火を見ている頃、ハルタは交通事故で命を落とします。奇しくも事故にあったとき、ハルタはカンナへのメールを打っている最中でした。
このことから、カンナは心に傷を負います。…
漫画大好きライター。女性誌や男性誌でインタビューやカルチャー企画を担当。手塚治虫の「W3」でマンガ愛に目覚める。「パクチーが持つ効能のように、みなさんの体内の毒素を排出してくれるような漫画を紹介していきたいと思います」
▼合わせて読みたい
-
【BOOK #04】会社員でも妻でも母でもなく、時にはひとりの“女”に戻ってみるための2冊
マリソル世代におすすめの本を週2冊ペースでご紹介! 今週は、相変わらずのSTAY HOME推奨でむしろ24時間「役割」に束縛されがちな私たちに、「ひとりの女」であることを思い出させてくれる2作をピックアップ。
-
【BOOK #03】思い通りにはいかないことが増えた今、最短距離ではない人生の味わい方を教えてくれる2冊
マリソル世代におすすめの本を週2冊ペースでご紹介! 今週は、計画どおりにいかないことや先行きが見えないことの続く世の中で、しっかり地に足をつけたくなる2作をピックアップ。
-
【BOOK #02】この先の社会が気になる今だからこそ、著者とともに内面を見つめる時間を
マリソル世代におすすめの本を週2冊ペースでご紹介! 今週は、この先世の中どうなるの? と意識が外に向きがちな日々に、あえて過去や内面を見つめる2冊をご紹介。時には「進まない」選択を。
-
【BOOK #01】地に足をつけ、本質を見つめたい今のための、ふたつのアプローチ
マリソル世代におすすめの本を週2冊ペースでご紹介! 今週は、仕事も日常生活もなんだか現実味が希薄になりがちな日常の、カンフル剤となるような小説とエッセイをどうぞ