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「MRIは学びの宝庫」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.7】

まさか私が? やはり私も? 生涯罹患率が10人に1人と言われる乳がん。検診だってしてたのにどうして! 第7回目 「MRIは学びの宝庫」知らなかったことがたくさんあった。

検査日を変更してくれと病院から言われたことにより病院への不信感マックスだったケビ子。CT検査で先生と看護師のチームワークを見て「この病院で良かった」とようやく納得した。

乳がん・ニューライフ (第6回はこちらから)

第7回目はMRI検査。MRI検査を受けるにあたっての注意事項、確認事項が多く初めて知ることが多い学びの機会となった。

【告知の前にMRI検査を受ける】
先生から病状の説明をするからと夫と一緒に呼ばれたその日、夫と合流する前にMRI検査をした。


MRIの予約時間は12時だが、30分前に来てくれと書いてある。診察は14時からで、夫はここで合流する予定だ。数日前に実施したCT検査では着替えも含めて30分もかからなかったので、今回もそのくらいだろうと思っており、終わったらランチを食べようかなと病院近くのカフェを調べていた。


放射線科に予約表を出したところ、外科内にあるMRI室に行ってくれと言われて移動した。移動したらすぐ検査となった。担当は30代くらいの女性の検査技師。化粧っ気のあるお仕事女子だ。


そういえば、と振り返るとこの病院は乳がん関連の検査は女性の検査技師が多い。超音波もマンモもCTも今日のMRIも。センシティブなことだし、女性のスタッフはなぜかとても安心する。貴様も俺もおちちがある女よ。


MRI技師から着替えを受け取って準備をしていると、「今日の検査は結構長いですよ。45分くらいかな」と言われた。
そこで「わあ大変な検査だ」と思う前に「なぬ、それではランチを食べる時間がないではないか」と不貞腐れる食い意地である。


CTもMRIも検査の3時間前から絶食となる。しかしこの日は12時の予約のため、朝ごはんを食べても良いのだろうが、空腹の方が造影剤が染みわたるのではないか、という勝手な想像のもと、朝ごはんを食べずに臨んだので、ものすごくお腹が空いていた。


【アートメイクはだめなんて!知らないことだらけのMRI検査】
CTの時は浴衣のような検査着だったが、MRIはパジャマ式の検査着。
MRIの造影検査にあたり、着替えを終えたところで技師からいろいろと確認をされた。
サプリや薬を飲んでいるか、指輪、イヤリングはしていないかなどなど。


ここで「へ~こんなことも影響があるのか」と驚いた質問が
・ヒートテックは着ていないか
・歯の矯正はしていないか
・アートメイクはしていないか
であった。


なぜなぜ少女全開でこれはどういう影響が?と聞いてみたところ
ヒートテックは発熱により火傷の可能性があること
歯の矯正は器具がゆがむ可能性があること
アートメイクや入れ墨は変色や火傷の可能性があること
と回答をもらった。


7月に入っての検診かつ上半身裸と言い渡されての検診なので
「ヒートテックは着ていないが私は歯科矯正を終えて、下の歯の裏側にリテーナーと呼ばれる金属の保定装置がついている」と伝えてみたところ、
「ゆがむ可能性は0ではないです。MRIは受けたことはありますか?」
「3年ほど前に脳ドックで一回あります。その時には特にそういった指摘もなければ可能性の示唆もなかったです」
「ん、ん、ん、じゃあ大丈夫でしょうね!」とちょっと渋っていたので
「もしゆがんだら歯医者に行けば良いってことですよね?」と確認して
「そうですね」
とこの質問は終わった。


次にアートメイク。なぜここでひっかかったのかと言うと、がんの治療で抗がん剤を使うことになった際はもれなく脱毛すると知った。そこで眉のアートメイクとまつげのエクステは前向きに検討しようと予め美容皮膚科に話を聞きに行ったところだったのだ。


今後、治療が進んだとしてもMRIは受ける機会があるのだろうから、アートメイクはない方がよいのだなと理解したのだが、美容皮膚科では「抗がん剤治療で脱毛した患者様が多数お見えになってアートメイクをしていますよ」と言っていた。はて?
あとで調べてみるとアートメイクに使われるインクによっては危険が伴うそうだが、乳腺外科でこのアートメイクはOKね、いやNGね、という判断も難しいことから全員に確認しているのだろう。


検査結果が出る前は母が経験したように乳がん=抗がん剤治療だと思っており、自分も心の準備をしていた。抜ける毛を見送るよりは、予防的観点からも少しでもきれいな眉の形を作るために抜ける前にアートメイクをした方がよい。なんならすぐにでもやるか、と思っていた勢いだったので早い段階でアートメイクはしない方が面倒が少ないことが分かって良かった。


座って点滴針を入れて少し待機し、分厚い銀色のドアの内側に招かれた。
病院のドラマで良く見るMRIの機械がどでんと鎮座していた。


3年ほど前に受けた脳ドックがこれまでの唯一のMRI体験。検査中、想像以上の機械音で驚いたが、あの騒音がなぜか眠気を誘った記憶がよみがえってきた。
今回も同じように見える機械だが、寝る場所の様子が違う。
「今日はうつぶせで検査しますよ」
なるほど、様子が違うのはおちちをだらりと垂らして収納する穴が二つあるためだなとわかった。顔の位置に大き目の穴、おちち収納のための左右の穴。


一人戸惑いながらもじろじろと見学する私の様子を察して、サポートする技師が「ほら、あおむけだとおっぱい流れちゃうでしょ?だからうつぶせね」と。
「拷問器具みたいですね」そう言うと技師たちは笑った。「そういうコメントは初めてだわ」と。令和のアイアンメイデン、おっぱいMRI。


うつぶせで、それぞれの穴に顔とおちちを収納してポジショニングする。右手は点滴の針が入っており動きにくい。両腕を頭上に置き、右手の中指に酸素濃度測定器をはめ、左手には何かあったときのブザーを持つ。


タオルをあちこちに挟んでもらって体は固定され、非常に快適。足首も動かず、手の位置もフィットし、耳にはエイトビートのリズム音のような機械音。
ヘッドホンを装着された。聞こえてくるのはネットフリックスのドラマ「プリジャートン家」の舞踏会で流れていそうなワルツ風情の曲。そしてヘッドホンを飛び越して聞こえるエイトビートのようなドンドン音。悪くない。


「検査を始めますね」という技師の声の後に猛烈なブザー音が加わる。クイズ番組で不正解を出した時に出る「ブー」という音に近い音が絶え間なく大音量でずっと流れている。合間合間にこれはレの音だな、という音がインサートされる。
「ブーーーーーーーーーーーーレレレレレレレブーーーーーーーーーー」
そして舞踏会の音楽とエイトビート。


なんだ結構楽しいな、と思いつつ眠気が襲ってきた。気が付くと時折左手に持っているブザーを放しそうになりびくっとなって起きる、を繰り返した。
検査が終わり、起き上がると妙にふらふらする。
分厚い銀色の扉が開き、待合で点滴の針を抜いてもらって着替えて一旦リリースとなった。

「MRIは学びの宝庫」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.7】_1_1
【ランチ抜きで夫と合流】
MRIを終えて時計を見ると夫と合流する14時まで1時間を切っており、ランチの時間はなかった。造影剤を早く流してしまいたかったこともあって、水をがぶ飲みして空腹をごまかし、少し早く到着した夫と合流した。


つづく

*次回【Vol.8】は3/25公開予定です
 
※この記事はケビ子さんの体験に基づいて書かれており、2021年12月現在の情報をもとにしています。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
カモチ ケビ子
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている
Instagram(@kbandkbandkb)

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