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アラフォーからのホルモン&生理、どうなる?講座

アラフォー世代になり、生理やメンタルの変化に気づいた時、意識するのがホルモンの変化。更年期の始まり?閉経が近いサイン?誰もが不安になるホルモン&生理について女性の体の専門家に伺いました。
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初潮を迎えた時からずっと、女性としての機能を支えてくれているホルモンと生理の密接な関係。乱れを感じ始め、そのありがたさがひしひしとわかってきた今、改めて復習!
☆お話をうかがったのは・・・
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成城松村クリニック院長・松村圭子先生
月経トラブルや更年期障害など女性のさまざまな不調や疾患の治療・検診を行う、婦人科専門医。

女性ホルモン分泌低下が引き起こす生理の変化

体内に約100種類はあるといわれるホルモンの中で、生理に関与する主なホルモンは4つ。その機能はすべて、脳でコントロールされている。まず視床下部からの指令により脳下垂体から卵巣に刺激を与えて卵胞の成長を促進する卵胞刺激ホルモンと、発育した卵胞を刺激し、排卵を促す黄体形成ホルモンが分泌されると、卵巣から“妊娠の準備”を整えるホルモンが出る流れ。

「こうして脳からの命令を受けて卵巣から分泌されるのが、いわゆる女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンの2つのホルモン。相互にバランスを保ちながら、女性らしい体やうるおってツヤのある肌、髪を作り、気持ちを安定させ、体調を整えてくれます。女性にとって大切なこの2つのホルモンですが、そのまず一番の役割は“子孫を残すこと”、つまり、妊娠の準備を整えること。そこで、生理後より増加するエストロゲンは卵胞を大きく育て、排卵後に分泌されるプロゲステロンは、子宮内膜を厚くふかふかにしたり、体温を上げるなど、妊娠のために万全の準備をします。が、妊娠が成立しないことがわかると、子宮の中で受精卵のために用意されていた子宮内膜がはがれ、経血として体外へ排出されます。これが、生理です。妊娠のために生理があると思っている人もいますが、そもそもは逆。“今回は妊娠は不成立でしたよ〟という体からのサインとして生理が起こるのです」

ホルモンのピークは20代後半!


2つの女性ホルモンの分泌は、初潮を迎えるころから始まり、妊娠出産に適しているとされる20代後半が分泌量のピーク。安定したまま30代前半を過ぎ、35歳を超えたあたりから卵巣機能が低下傾向に。

「それに伴い女性ホルモンの分泌量も低下し始めます。“生理の変化”をはじめ、アラフォー女性の多くが“今までと何かが違う……”と感じるのはそのせい。そして、その分泌量の低下が急激であればあるほど、その“変化”の過程がつらくなる傾向にあり、これがいわゆる40代後半から始まる“更年期”です。

女性ホルモンが減っていくのは生体反応で避けられないことですが、閉経に至るまでのこの“変化の時期”にその減少ラインをできるだけゆるやかにして、〝ソフトランディング”できるかどうか、がこの時期を乗りきるためのカギとなります」

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閉経に向かって、ホルモンが変動している現在のアラフォーの体。閉経するのは仕方ないけどせめてその過程で、ホルモンの減少を緩やかにして、"ソフトランディング"するためのアイデアをご紹介!
☆お話をうかがったのは・・・
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自然療法テラピスト 長谷川和美先生
米国で自然療法を習得したホリスティックトリートメントサロン「HARMONITY」ディレクター。解剖生理学の知識も。

[その1] 自分の心身の状態を常に把握する

"今"の自分と向き合って、ホルモンを操る脳の錯覚を防ぐ

変化しつつある体の声に今までより敏感に耳を傾けることが、更年期を上手に乗りきるための第一歩。そこで、基礎体温を測ったり、婦人科検診やホルモン検診を受けての"現状把握"は重要だ。

でも、「体の変化を過剰に意識しすぎると、ホルモンを支配する脳が錯覚を起こし、さほどホルモン量は低下していなくても、更年期のような症状が出ることも。これは、以前はこうだったのに、と過去と比較したり、今後どうなるんだろう、と未来を心配したりすることで脳によけいなストレスがかかるから。だから意識すべきは今、この瞬間の自分の心身の状態と向き合うクセをつけること。そうすることで、心身のバランスが整い、更年期症状も和らぎます」

[その2] 女性ホルモンを徹底サポート

減りゆくエストロゲン&プロゲステロンの働きを意識的に”補充”


減り始めた女性ホルモンのサポートに欠かせないのは、まずエストロゲンに似た働きをするイソフラボン。できれば食品でとるのが理想だけど、むずかしい時はサプリでも。

さらに「ホルモンの乱れを抑制するだけでなく、血糖値の正常化や体脂肪の減少にも関与するプロゲステロンも、その原材料となるビタミンEをアーモンドなどのナッツ類、かぼちゃやアボカドなどからとりたいところ。一緒に果物や緑茶といったビタミンCの豊富なものをとるとより吸収しやすくなるので、ぜひとも合わせて!」

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大豆を乳酸菌で発酵させて作った"エクオール"含有食品。なにかとゆらぎがちな時期を過ごす40代以降の女性の健康と美容を応援。医療機関だけでなく調剤薬局でも入手可能。エクエル 112粒¥4,000/大塚製薬

[その3] "冷え"を寄せつけない

内外からの"お湯"活用で 温めながら、体調調整

ホルモン変動により乱れた自律神経のバランスをさらにくずす「冷え」への対策も必須。上手に活用したいのが、日常生活の中で頻繁に触れる「お湯」。

「入浴時は、体調によってお湯の温度を決めるとより効果的。肉体的に疲れている時はさわって熱いと思うくらいのお湯で筋肉の疲労を取り、精神的な疲れを感じている時は、少しぬるめのお湯で神経系をゆるめて」。

さらに体内からの温めには、しょうがをすりおろして入れたお湯のほか、白湯にレモン汁と岩塩を少々混ぜたものを。「冷えの改善に加え、更年期に弱りやすい消化器官を休めてデトックスする作用も期待できます」

更年期を迎え、いつかは訪れる、閉経。体の健康を保っていた女性ホルモンが分泌されなくなったその時、いったい何が起こるのか 。今、予習して、未来に備えて今からできる対策を!

女性ホルモンの激減はさまざまな疾患の原因に

ここでまず、知っておきたいのは、「閉経」の定義。

「一般的には、生理が来ない状態が1年続いたら閉経と考えます。その後、1~2年たってから、生理が来たというケースもまれにありますが、それは休眠したはずの卵巣が何かの拍子にたまたま働いただけ」(松村先生)

さて、こうして閉経し、女性ホルモンの恩恵を受けられなくなった体には、生理が乱れてきた時から着々と進行していた症状が、徐々に現われ始める。

「まず顕著なのは骨。閉経前にエストロゲンの分泌量が減少すると、骨からのカルシウムの流出を防ぐ働きが低下してしまい骨の中がスカスカに。骨を強くする代謝機能も加齢で低下するので修復もむずかしい。そのため、閉経後は骨粗鬆症になりやすいんです」(長谷川さん)

「心血管系の疾患の可能性も一気に上がってきます」とは松村先生。これも、血管の弾力性を保つ作用のあるエストロゲンが減少したことで、血管が弱く、もろくなるから。さらには「血流が悪くなり、血管内が汚れてつまりがちになって動脈硬化などの原因にも」(長谷川さん)

女性ホルモンの恩恵終了は、女性ならではの部位にも影響。


「肌だけでなく、膣もエストロゲンによってうるおいが保たれるので、閉経すると乾燥し、性交痛や膣炎の原因に。またエストロゲンの減少は脂肪の蓄積を促すので、太りやすくなる傾向も」(松村先生)

と、ここまで聞くと閉経後の人生ってなかなかつらい? と暗い気持ちになりそうだけど……。


「閉経すれば毎月の生理や生理痛の煩わしさから解放されるし、妊娠の心配なくもっと自由にセックスも楽しめるかもしれない。それに、更年期のホルモンの急降下で感じる心身の不調だって、“ランディング”してしまえば一段落。閉経するのも悪いことばかりではありません。閉経後の体が陥りやすいリスクだけきちんと把握したうえで、もっと自分の体と“仲よく”できる機会がやってきた、と前向きにとらえれば、閉経後の人生は楽しいものになりますよ」(松村先生)

Q.ここ1年くらい、生理の日数がぐっと短くなって。量も明らかに減ってきているし、もしかして、閉経が近いのでしょうか? 心配です。(41歳・既婚・子供なし)

A.生理が変化し始めても、すぐ閉経するわけではありません


「日本女性の平均閉経年齢は50.5歳で、それに伴うさまざまな変化が現れる"更年期"は閉経をはさんだ前後5 年ずつといわれているので45~55歳。ですが、その少し前の40歳前後から卵巣機能は低下する一方なので、閉経に向かうちょっとした変化の兆しが見えてくる人は多いんです。ですから生理の量や日数、周期などの乱れは、この年代の女性として、あたりまえの生体反応。本格的な変化が来る前の予行演習として、不安にならず受け止めましょう」

Q.もともと生理が軽く、生理痛やPMSなどほとんどなかったのですが、昨年あたりから生理前のイラつきが激しく、生理痛も感じるように。やはりこれは年齢的変化として仕方がないですか? (37歳・既婚・子供1人)


A.ホルモン変動の影響が考えられますが生理痛についてはきちんと検査を


「ホルモンの乱れは自律神経の乱れを引き起こすものなので、40歳前後のホルモンの変化により、生理前に今までになかった心身の不安定感を感じることは大いにあるのでPMSが出るのはよくあること。ただし生理痛は、エストロゲンが関与する子宮筋腫や子宮内膜症の進行でつらくなることがありますから、痛みがひどくなってくるようでしたら一度、婦人科で検査を受けることをおすすめします」

取材・文/橋本日登美 イラストレーション/中根ゆたか
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