会社組織でのストレス、自分だけのさじ加減でそう減らせるものでもないような【小説・じゃない側の女 番外編~汗が止まらない側の女 Vol.9】

2018年10月7日
【連載第9回】好む好まざるにかかわらず「じゃない側」からはそう簡単に抜け出せない。すべてのアラフォー女性に送るWEB連載小説の番外編『汗が止まらない側の女(Side真木)』
腸内環境を整える
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吹き出す汗がおさまってきたのか、理沙が通常運転に戻り、快調に毒づきはじめる。

「まあさ、過度なストレスは肌にも体にもメンタルにも、自分にも他人にもよくないってことくらい、誰に言われなくてもわかってるじゃない? でも、真木も言っていた通り、じゃあストレス減らせば?なんて軽く言われても、会社組織で働く以上、自分ひとりのさじ加減でそう減らせるものでもない。なのに、たまにいない? 知った顔で、『心の持ちよう』だとか、『ご自分のストレスマネジメント次第でしょ』なんてさらっと言う輩。それ聞くたびにあたしは正直『けっ』って思うのよ」

「どうした? 理沙、なんかあった?」

結花は理沙のグラスに、赤ワインをゆったりと注ぎながらたずねる。

「そりゃあるわよ、毎日それなりに」

「聞きますよ」

「やめとく。だって仕事に加えて、家事も育児もやってる結花からしたら、『何を甘えたこと』って、絶対言いたくなるでしょ? でも、それ言われると、多分もっとイラッとするから」

「言わないわよ、そんなこと。ストレスは溜めると老化を加速させるだけよ。言いたいことは言える場で吐き出した方がいいって、はい、これ赤」

結花に手渡されたグラスを、コクコクと半分近く飲み干すと理沙は続ける。

「ほんとストレスってさ、溜め続けると、底の方の蓄積分から、知らぬ間に失望とか悲しみとか怒りっていう、ドロっとしたどす黒い感情に少しずつ形を変えて、毒素の濃度が俄然高まると思わない? きっとそのドロドロが、血液もドロドロにするんだわ」

「その感じはわかる。だからそれ以上、理沙の血がドロドロにならないうちに話してみなさいって」

「もうとっくにドロドロよ」

「それは大変。じゃ、なおのこと、血管詰まる前に吐き出したら?」

「もうちょっと飲んでから話す。真木、ボトルまた空きそう。次どうしよう。あと、血液サラサラ効果を期待して、アボカドとトマトのサラダも大盛で頼んでくれる? そうだ、お勧めのマイオリーブオイルがあるから、3人でこれかけまくって食べよう」

と言うや、ボッテガのバッグからオリーブオイルのミニボトルを取り出す理沙。

「まさか理沙、オリーブオイル持ち歩いてるの? 重いでしょうに」

「ストレス減らせない分、食でカバーよ。どうにもならない現実に文句たれて発散するのも大事だけど、その現実に耐えうるメンタルと体をどう作るかって方が、もっと大事だからね。できることをやるのよ」

「あなたのそういうところ、尊敬するわ。ちなみにそのオイル、いいの?」

「んー、まあ500mlで5000円以上はするくらいのお味はするかな。あたしは最近はこれにはまってる。コールドプレスのオリーブオイルなの」

「えー、オリーブオイルでそんなのあるの? なんでも知ろうとすると深いのね。私、最近はじめて、グリーンとライプって意味を知ったくらいなのに」

「結花にも知らないことがあるとホッとするわ。まずはなんでも試すあるのみ!」

楽し気にオリーブオイルを語る理沙を見ていると、この人の上辺だけじゃない、生命力に満ちた美しさは、実はもっと体の奥底、それこそ腸内環境の健やかさあたりから、勢いよく溢れ出しているのかもしれない、なんて思ったりもする。

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