「してもらうこと」を当たり前としない女と「してもらうこと」に恐縮しない女【小説・じゃない側の女 番外編~酸化に負けない側の女 Vol.1】

2018年10月20日
【連載第1回】好む好まざるにかかわらず「じゃない側」からはそう簡単に抜け出せない。すべてのアラフォー女性に送るWEB連載小説の番外編『酸化に負けない側の女(Side理沙)』
版権:Plamen Tsvetanov/Shutterstock.com
真木は今日も、いつもどおり、あたしと結花のグラスが空けば、間をあけることなくそっと次の飲み物を注ぎ、手元のお皿が空になりそうになると、いつもほどよい量の料理を絶妙のタイミングでサーブしてくれる。

そして今もまた、あたしと結花が次に飲みたいワインやシャンパンの希望をさりげなく聞き、それにあう料理を選び、はるか向こうのマスターの元にオーダーを伝えるため、そっと席を外す。それらすべてに一切「やってあげてます感」を出さず、淡々とフォローしてくれる。そんな彼女に、心の中でありがとねと告げつつ、あたしは今日も心地よく甘える。

今日の真木は、スリードッツのTRAVEL LINEだろうか。素肌に1枚Vあきのブラックトップスに、ネイビーのサルエルパンツという、体に優しいリラックスコーデは、真木自身のように自然体、ザッツナチュラル。

もう30年以上も昔の話だが、真木の部活の後輩女子らは、こぞって彼女のバスケットボールやバッシュを磨きたがった。

大人になってからも、同性に限らず、この媚びないクールビューティにあれこれ尽くして喜ばせたがる男性たちは少なからずいたはずだが、彼女は「してもらうこと」を当たり前とせず、かといって「私がやってます」的な押しつけがましさも出すことなく、至極当たり前の顔で淡々と自ら動く。

一方で、これは良しあしではないが、由緒ある家柄に生まれ育った結花は「してもらうこと」に明らかに慣れている。だから、「してもらうこと」に対して変な恐縮もしないし、かしこまりも媚びもせず、それはそれで清々しいほどに堂々と「ありがとう」と礼を伝え、優しく微笑んでしてもらう。

そんな真木はバツイチで、そんな結花はお子が2人のセレブライフ。人生はいろいろだ。

真木があたしと結花のために、新たなオーダーを入れに行っている間、結花は貴重なオフ日、おいしそうにシャンパンを飲みながら、ご機嫌にオリーブをつまんでいる。確かに大事だよね、こういう時間も。ママ業に休日なんてない中、この人、あたしたちと同じようにフルタイムで働いているのだから。

あたしや真木が、持てるパワーをすべて仕事で使い果たし、息も絶え絶え家にたどりつくや、電池切れ状態でぐったりソファに身を沈めてしまうような時も、結花は電池切れなんて言っていられず、家事に育児に邁進している……はず。

What's New

Feature

Ranking