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言えない。家中の食器使いきるまでシンクに洗い物をためてしまう、なんてこと【小説・じゃない側の女 番外編~酸化に負けない側の女 Vol.2】

【連載第2回】好む好まざるにかかわらず「じゃない側」からはそう簡単に抜け出せない。すべてのアラフォー女性に送るWEB連載小説の番外編『酸化に負けない側の女(Side理沙)』
言えない。家中の食器使いきるまでシンクに洗い物をためてしまう、なんてこと【小説・じゃない側の女 番外編~酸化に負けない側の女 Vol.2】 _1_1
版権:cunaplus/Shutterstock.com
ふと結花の足元を見ると、華奢なこげ茶のストラップサンダルに、肌なじみのいいベージュピンクとローズがかった赤のブロッキングネイル。ほどよくモードでほどよくフェミニンなこの足もとからも、この人が主張し過ぎない、やり過ぎない聡明な女であることが伝わってくる。ネイルは美しくても、かかとにまでは意識がいかず、レンガのようなガサガサ女も世の中少なからずいるけれど、結花はもちろん、うるうるツルツル。

この人はおそらく、かかとのケアひとつとっても、生活全般にわたって安易に手を抜いたり、さぼることが無いのだろうな。そしてそれを特に苦とせずに、丁寧な暮らしを送っていそう……な気がする。逐一生活ぶりを知っているわけではないけれど、そんな気が。

だから、とても言えない。

あたしは……詰め替え用のシャンプーとリンス、どちらもボトルに詰め替えた試しがない、なんてこと。

衛生面を考えてあえてしていない、などではなく、単なるグータラで。そのうちそのうちと思いつつ、気づけばまたも、詰め替え用パックのまま使い切ってしまう、なんてこと。

それは調味料でも同じ。ブラックペッパーも七味も、詰め替え用の小袋を買ってきては、ビンに詰め替えずして使い切っちゃうなんて、よくある話。

ああ、とても言えないシリーズその2。

あたしは……まあまあの頻度でシンクに洗い物をためてしまう、なんてこと。

仕事が猛烈に忙しく、心身ともに疲労のピーク時は、家にあるコップというコップを全て使い切るまで一切洗わずシンクに置き続け、さらにひどい時は、すべてのコップとグラスを使い切った後もまだ洗わず、茶碗や皿やどんぶりでコーヒーや牛乳を飲み、食器戸棚の中がすっかり空っぽになって初めて、渋々洗い始める……なんてこと。

1日置いただけでも雑菌が大繁殖するとか、もはや洗っても落ちない雑菌がこびりつくとか、ひどい場合はそれが食中毒の原因にもなるとかいう情報は、知っているし、聞いている。

知っているし、聞いているのに……洗う気が起きず、すみません。

激務が続いて洗う気力がどうしても起きない時、会社帰りに100均で紙コップ買って帰って、しばらくしのいだこともあったなあ。

どこまでもクリーンで勤勉(そう)な結花と、実はこれまた隠れグータラなあたし。栄養や食材の勉強をしているあたしを、真木は褒めてくれるけど、それはただ面白くて楽しいからというだけの話。食と睡眠以外の生活面は、とても人さまにお見せできるようなクオリティではない。つまり、ほんとは真木に「生活改善しなさい」なんて偉そうなこと言えた身じゃないのだ。

でもほんと、洗い物って億劫じゃない?

「食洗機を買って、生活の質が変わりました! 働く女性が生活に取り入れるべき文明の利器No.1です!」とかいうネットの絶賛口コミを見て、思わずあたしも手をだしそうになったけど、それこそ定期的に掃除をしないと今度はその食洗機自体にすぐに黒やピンクのカビが生えるというクチコミを見て、その図が容易に想像できたので、そっと先送りしたことがあるくらい、洗い物はなにしろ気が乗らない。

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