働く40代を応援!新時代のEC連動メディア

手抜きの延長とその緊張感の無さが、女としての魅力を確実に減らす?【小説・じゃない側の女 番外編~ご機嫌悪くない側の女 Vol.7】

【連載第7回】好む好まざるにかかわらず「じゃない側」からはそう簡単に抜け出せない。すべてのアラフォー女性に送るWEB連載小説の番外編『ご機嫌悪くない側の女(Side結花)』
手抜きの延長とその緊張感の無さが、女としての魅力を確実に減らす?【小説・じゃない側の女 番外編~ご機嫌悪くない側の女 Vol.7】_1_1
版権:Vigen M/Shutterstock.com
「このブドウはね、そのまま食べても美味しいし、シャンパンに入れても美味しいよってマスターが。試してみようか」

そう言うと、真木はさっそく新しいグラスを3つ並べ、それぞれのグラスに新しいシャンパンを注ぎ、一粒ずつ丁寧に浮かべてくれる。理沙は一番にそのグラスを受け取ると、美味しそうにコクリと一口飲んで真木に言った。

「秋も悪くないか、って話をしてたの」

「秋?」

「うん。まだまだ楽しいよって」

「なんかよくわからないけど、楽しみがあるってことはいいことだね」

「真木、だからひからびてる場合じゃないよ」

「もー理沙、今日それ何回目? だから、私のどこがひからびてるっていうのよ」

「だって真木、今日、カップ付インナーでしょ?」

「へ?」

「見ればわかる。あたし、この業界長いので、人のいでたち見れば、どんなインナーかアンダーつけてるかくらい、割とわかっちゃう。多分須藤さんもそうだった」

「ほんとに? わかるの? げー、こわーい!」

「こわーいじゃなくて、どう?真木、今日ブラしてないよね? カップ付のタンクトップあたりじゃない?」

「はい、そうです」

「あたし今日言ったわよね。加齢、ストレス、過労。そこに怠惰と怠慢をダダ漏れ状態で上乗せするのだけはやめてみたら?って」

「……うん。言われた」

「もはや男の前で服を脱ぐこともないとなれば、ひたすら楽チンがいい」

「……うん」

「もうどれくらいちゃんとしたブラしてないの? 正直ベースで言ってみて」

「えー、離婚してからほぼずっと……かな。だから1年半以上基本的に毎日……これです」

「だめじゃないよ。カップ付インナーとかタンクトップって、だめじゃないし、締め付けないよさもあるし、あたしも好きだし使う。特に生理中なんかで胸がはる時は楽だったりする。だけどね真木、“手抜きの延長”で、年柄年中ずーっとそればっかりってなると……」

「垂れる? そげる?」

「ということよりも、その緊張感の無さが、女としての魅力を確実に減らす気がする。だから、真木にも、たまには素敵なブラをつけてほしい」

「うわ、理沙にソフトに言われると一層刺さるわ。あー、そういう意味では……おっしゃる通り、私、ひからびてました。すみません」真木が理沙にぺこりと頭をさげる。

「そのカップ付インナーの中で、よもや乳首にチロンと毛が一本処理されず、たなびいていようものならもはや末期だからね」

「え!?……どうだろう。全然気にしないからな、もう久しく」

「頼むよ、今日帰ってお風呂はいったらチェックしてみなさいって」

「わかりました」

「わかったって、今言ったね? 結花、議事録とっておいて。今度会った時、真木のカップ付インナーオンリー生活が続いてたら、どつくから」

「大丈夫だよ、反省したから。明日にでもさっそく新しいブラ買いにいくってば」

「ほんとにそうしなさいよ。今、痛くないノンワイヤーでもバストしっかり持ちあげて、自分でもびっくりするくらい胸、ふっくらになるから。ね? あれ? 結花、なんか言いたげな顔してる?」

「え? ああ、うん。そうかー、真木ってそうなんだーって。びっくりしたなあ……」 

「ん? 何が?」

「いや、私は逆に、年々下着にだけはお金かけてるっていうか。バストアップのエクササイズとかマッサージなんてやったり、通ったりする余裕ないから、せめてブラだけは正しいものを毎日つけておこうと思って、もうずっとセミオーダーのブラしかつけないの。なのに、真木はカップ付タンクトップで毎日って……驚き」

キョトンとする真木に、私の言葉を理沙が理沙流に通訳する。

「年々重力に耐えられなくなる年齢なのに、あなた本気で毎日ろくにブラつけずに、会社行ってるの? それで仕事してるの? アラフォー小学生なの?ってことよね?」

「えー、結花、そうなの? セミオーダーのブラ?え? まさか、理沙も?」


「あたしはフルオーダー。もともと日本の既製品のサイズがいまいちあわなかったのよね。オーダーは一度カルテ作っちゃえば楽だし、やっぱり歳とともに自分の身体が変化してるって事にも気づきやすいのよね。少なくとも年一は採寸し直してカルテをアップデートするから、あ、変わったってすぐわかる」

■じゃない側の女番外編記事一覧

■汗が止まらない側の女(Side真木)

【Vol.1】最近、頭もワキも汗ダクダク。色の薄いグレースーツの日なんてもう!

【Vol.2】汗を吸ったインナーのあたりが…。もしかして更年期、関係あります?

【Vol.3】再びの独り身。気づけばお惣菜にカップラーメン、冷凍食品で生き延びる日々

【Vol.4】離婚とは、噂以上に気力体力ともに消耗するものなのですね…

全10話を読む >


■酸化に負けない側の女(Side理沙)

【Vol.1】「してもらうこと」を当たり前としない女と「してもらうこと」に恐縮しない女

【Vol.2】言えない。家中の食器使いきるまでシンクに洗い物をためてしまう、なんてこと

【Vol.3】「流れに身を任せて生きる」と「無気力 / 怠惰 / 無責任」は違うのに

【Vol.4】歯のホワイトニングとブラジリアンワックス、やるならどっち先?

全12話を読む >


■現役をおりない側の女(Side結花)

【Vol.1】仕事と育児に追われる分「それ以外のこと」を激しく欲することがある

【Vol.2】50歳になっても60歳になっても絶賛恋愛中!…は、素敵です

【Vol.3】イロコイは、良い恋とか悪い恋とか言える類のものじゃない?

【Vol.4】別れた旦那からの連絡に、思わず“チッ”と毒づきました…

全11話を読む >


■恥じらいを忘れない側の女(Side慶子)

【Vol.1】思わずこらえていたものがこみあげて、無意識に両目からツーっと涙が…

【Vol.2】いくつになっても学ぶことがあるのが人生ってもので

【Vol.3】私がおかしいのか、旦那がおかしいのか、何がおかしくて、おかしくないのか

【Vol.4】生まれてこのかた経験したことがないことがわが身に起きて、ひそかにパニック…

全8話を読む >

■ご機嫌悪くない側の女(Side結花)

【Vol.1】受験、就活、婚活、妊活。どれもゴールだと思ったものは、必ず何か次のスタート

【Vol.2】自分ひとり好き勝手に生きてりゃ、誰からも感謝なんてされるわけない虚しい人生?

【Vol.3】どこで間違ったんだろう?あれ?間違ったのかな?今いるここは間違いなのか…

【Vol.4】人生100年時代に向け、ヒトゴトではなく、自分ゴトとして

全11話を読む >

Shopping News トレンドがわかる、買える!

AND MORE

What's New 新着記事

AND MORE

Recently Checked チェックしたアイテム

    AND MORE

    Feature 編集部のおすすめ記事

    ×

    この記事をクリップしました!