子供がいない女のヒガミだと言われそう?萎縮と遠慮とネガティブ妄想【小説・じゃない側の女 番外編~酸化に負けない側の女 Vol.11】

【連載第11回】好む好まざるにかかわらず「じゃない側」からはそう簡単に抜け出せない。すべてのアラフォー女性に送るWEB連載小説の番外編『酸化に負けない側の女(Side理沙)』
子供がいない女のヒガミだと言われそう?萎縮と遠慮とネガティブ妄想【小説・じゃない側の女 番外編~酸化に負けない側の女 Vol.11】_1_1
版権:Roxana Bashyrova/Shutterstock.com
「私は勿論、子供を産んで育てている身として、女性のライフイベントが足かせにならず、働く意志のある人が長く元気に当たり前に働けるようになること自体は、ピュアにいいことだと思うわよ」

「うん、それはその通りだと思う」

「だけどそういう話とは別次元で、もしその女子が私の部下だったら、私でもイラッとするとは思う。女性活躍推進って話と、だからなんでもかんでも無茶ぶりや、わがままをいつなんどきも聞いてくれて『当然でしょ』っていうのは、話が違うわ」

「子供がいる結花がそう言うのはいいけど、あたしが言うと、ちょっと違って聞こえかねないから、公に言いづらいんだよな……」

「子供がいない女のヒガミだとか言われかねないってこと? 理沙の周りは、そんなこと言いそうな、頭悪い女ばかりなの?」

「いや、そういうわけじゃないけど……なんとなく、勝手にそう思ってるだけ……かな」

「そうだと思うよ。勝手に理沙が思い込んでいるだけで、もっとまっとうな人が大半なんじゃないの? それこそ理沙の要らぬ萎縮と遠慮でしょ。やめた方がいいわ、そういうネガティブ妄想は。非建設的」

「あたし今、怒られてる?」

「怒ってない、叱ってるの。その彼女が私の後輩だったら言っちゃうと思うわ。誰であっても、自分のために尽力してくれた人に感謝ひとつできないっていうのは人としてどうかな、ってね」

そう言って、ぐいっとシャンパンを飲み干す結花に叱られながらも、あたしはなおつぶやく。

「同じ女でも、あたしは妊娠とか出産を経験してない。知らない。大体、流産と早産の違いも正しく知らなかったくらいで。そんなあたしには、彼女の心中を正しく察することが出来ないんじゃないかって思うとつい……」

「腰が引けたとか? だから、失礼なこと言われても、よくわからないLINE大量に送られてきても、ひたすら黙って彼女の意志を尊重すべきだと自分に言い聞かせてたの? なんかそこ突然バカっぽいっていうか、理沙らしくないっていうか、気持ち悪いのよね」

「は? 気持ち悪いって何?」

「だからなんで妊娠・出産だけ特別扱いするのよ。病気の療養につとめている人とか、親の介護している人とか、自分が経験、体験したことない大変な状況にある人なんて、もっと他にもたくさんいるでしょう? 今、理沙の身近にいなくても、世の中には大勢いるのよ。妊娠・出産に限らず、悲しい、とても残念なことが起きてしまうことだってあるの」

「ああ……うん」

突如、熱く力説しはじめる結花に、ちょっとおののく。

「そんな時ね、察しても察しても、その辛い状況、大変な状態に置かれている自分じゃない人の心中を完全に理解するなんていうのはどのみちムリで、推測の域を出ないわけ」

「そうだよね」

「それでもわからないなりに、いや、わからないことを前提に、だからこそ想像力を働かせて、まっすぐ思いやることに意味があって、出来るところまでの配慮をして、自分にできるサポートをしっかりやりきれば、それでいいんじゃないの? それこそ制度の見直しや新設が必要なら、会社組織での理沙の役目としてはそちらに尽力すればいいんであって、個々の事情や言動にびくついて、過度に丁重な対応を自分個人に強いる必要はないんじゃないの? そんなことしてたら、身がもたないでしょ」

結花のキツメの説教は、それが正しいとか正しくないとかいう以前に、ここしばらくあたしが抱えていた鬱屈とした何とも言えない灰色のもやもやを、何言っちゃってるの!と言わんばかりに、勢いよくパーンとはたいて晴らしてくれるようだった。

■じゃない側の女番外編記事一覧

■汗が止まらない側の女(Side真木)

【Vol.1】最近、頭もワキも汗ダクダク。色の薄いグレースーツの日なんてもう!

【Vol.2】汗を吸ったインナーのあたりが…。もしかして更年期、関係あります?

【Vol.3】再びの独り身。気づけばお惣菜にカップラーメン、冷凍食品で生き延びる日々

【Vol.4】離婚とは、噂以上に気力体力ともに消耗するものなのですね…

全10話を読む >


■酸化に負けない側の女(Side理沙)

【Vol.1】「してもらうこと」を当たり前としない女と「してもらうこと」に恐縮しない女

【Vol.2】言えない。家中の食器使いきるまでシンクに洗い物をためてしまう、なんてこと

【Vol.3】「流れに身を任せて生きる」と「無気力 / 怠惰 / 無責任」は違うのに

【Vol.4】歯のホワイトニングとブラジリアンワックス、やるならどっち先?

全12話を読む >


■現役をおりない側の女(Side結花)

【Vol.1】仕事と育児に追われる分「それ以外のこと」を激しく欲することがある

【Vol.2】50歳になっても60歳になっても絶賛恋愛中!…は、素敵です

【Vol.3】イロコイは、良い恋とか悪い恋とか言える類のものじゃない?

【Vol.4】別れた旦那からの連絡に、思わず“チッ”と毒づきました…

全11話を読む >


■恥じらいを忘れない側の女(Side慶子)

【Vol.1】思わずこらえていたものがこみあげて、無意識に両目からツーっと涙が…

【Vol.2】いくつになっても学ぶことがあるのが人生ってもので

【Vol.3】私がおかしいのか、旦那がおかしいのか、何がおかしくて、おかしくないのか

【Vol.4】生まれてこのかた経験したことがないことがわが身に起きて、ひそかにパニック…

全8話を読む >

■ご機嫌悪くない側の女(Side結花)

【Vol.1】受験、就活、婚活、妊活。どれもゴールだと思ったものは、必ず何か次のスタート

【Vol.2】自分ひとり好き勝手に生きてりゃ、誰からも感謝なんてされるわけない虚しい人生?

【Vol.3】どこで間違ったんだろう?あれ?間違ったのかな?今いるここは間違いなのか…

【Vol.4】人生100年時代に向け、ヒトゴトではなく、自分ゴトとして

全11話を読む >

What's New

Read More

Feature

Ranking