置かれている環境や状況をディスるのも簡単。
そのせいにするのも簡単。
そして他人や環境をディスるのと同様に、実は、自分をディスるのもまた、認めることよりずっと簡単だったりする。
幾つになってもまだまだ未熟な私たちは、あーもうやってられない!と誰かに、何かに苛立って、時には自分のことを棚に上げてでも、全力で文句を言いたくなることだってある。
でも、ディスりまくりのその先に何があるのか、どんな意味があるのか、そんな自分を自分がどう思うのか、どう感じるのか、嬉しいのか楽しいのか、元気が出るのか出ないのか、ご機嫌な笑顔になれるのか、なれないのか、私たちはその答えを知っている。
だから。
理沙も真木も私も、そろいもそろって聖人君子じゃあるまいし、口から出る言葉がすべて美しいわけでは決してないけれど、ダークサイドにずぶずぶに落ちて自己憐憫に浸り続けることを好まない。
ちょっとずつでも、一見無様でもドンくさくても、自分の心にあかりを灯す方へ顔を向けようとするその健やかさが、私には心地いい。
そしてまた、私自身もそうありたいと思わずにはいられない。
汗が止まらない側の女
歯が白くない側の女
毛が処理されていない側の女
恋人がいない側の女
夫がいない側の女
子供がいない側の女
自分のこと、子供のこと、親のこと、結婚、妊娠、出産、離婚、再婚、更年期、病気、介護、定年、お墓、相続、老後……と、私たちはまだまだこれから先もライフイベントの都度、様々なことを折々に延々話し続けるだろう。
いくつになってもどんな女も、小さなことから大きなことまで、どこかしら『じゃない側』ではあり続ける。その都度『である側』が正しかったのか、『じゃない側』が間違いだったのか、ふと困惑してしまうこともあれば、自分と逆サイドの女に、なんとなく憧れて、ちょっぴり寂しく感じてしまうこともあるかもしれない。
でも。よく考えれば、
そっちから見ればこっちがじゃない側、こっちから見ればそっちがじゃない側、というだけのこと。
そしてきっと、こっち側とこっちじゃない側のどちらが正しいか、正しくないかは、1+1=2のように、万人が同じ正解をだせるような話ではない。
そもそも人生において、わかりやすい確実な正解があることのほうが少ないのだ。
万国万人共通で導き出される正解なんてないからこそ、人生は厳しくも楽しい。
どのサイドにいても、今いる場所で輝こうとする、あっち側こっち側そっち側、すべての女性それぞれが、その人自身が、正しいとか正しくないとか、よくある定義や正解らしきもの、それらに基づいた世論なんかとは関係なく、ただ……。
ただ、ご機嫌な笑顔でいられれば、それでいいのではないか。
ご機嫌に生きる。
多分それが、自分のためにも、人のためにも、きっといい。
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- 登場人物 -